がん新薬競争 薬価揺さぶる
1回5000万円、効果「劇的」 保険制度の見直し迫る
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO2344537014112017MM0000/
ノバルティスの新薬「キムリア」
がん細胞を強力に攻撃するように遺伝子を改変した免疫細胞。
がんを撲滅する可能性があるとして、
世界中の製薬会社がこれを応用した新薬開発にしのぎを削っている。
この新薬を簡単に言えば、T細胞を取り出して遺伝的に加工し、
がんに対する攻撃力を高めた上で患者の体に戻す、という手法だ。
8月28日、米製薬大手ギリアド・サイエンシズが
119億ドル(約1兆3400億円)もの巨費を投じるM&Aを発表。
この分野で知らぬ人のいない米創薬ベンチャー、カイト・ファーマを買収した。
その3日後、医薬品世界2位のノバルティス(スイス)が
世界初の薬「キムリア」を米国で発売。
9月4日には武田薬品工業がこの分野への参入を表明した。
キムリアは小児・若年者の急性リンパ性白血病患者の8割で効果を示した。
小野薬品工業のがん免疫薬「オプジーボ」でさえも2〜3割とされるなか、
驚異的な治療成績といえる。しかも投与はたったの1回ですむ。
製薬界は「新しい時代」に沸くが、課題は価格だ。
キムリアは1回の治療に47万5千ドル(約5300万円)かかる。
ギリアドが10月下旬に
米国で承認を得た大細胞型B細胞リンパ腫の成人患者向け治療薬
「イエスカルタ」は37万3千ドル(約4200万円)に設定された。
順当にいけば、2つの薬とも今後1〜2年で日本でも承認されておかしくないが、
障害となるのが日本の薬価制度だ。