この生活習慣、効果かリスクか
http://apital.asahi.com/article/gan/2014071100009.html
日本での複数の疫学研究をもとに、国立がん研究センターの研究班は、
喫煙、飲酒といった生活習慣や、感染症について、
日本人のがんのリスクを上げるのか下げるのかを評価している。
喫煙は、多くの種類のがんで発病リスクを引き上げている。
喫煙が原因のがんは、がん全体のうち、男性では約3割、女性では5%だった。
次に、原因となる割合が高いのが感染症だ。
男女とも2割前後ある。
肝がんは肝炎ウイルス、胃がんはピロリ菌、
子宮頸がんはヒトパピローマウイルスに感染することで、
「確実」にリスクが上がるとされる。
喫煙と感染をなくすことができれば、日本人のがんは3割程度減る計算になる。
<飲酒>
飲酒が原因のがんは、男性では約1割。
一方、ほどほどの量ならば、がん以外も含めた死亡率全体を下げるという研究結果もある。
がん研究センターは、飲むのならアルコール量で1日23グラム程度を勧めており、
これは日本酒1合、ビール大瓶1本程度に相当する。
<塩分>
塩分が胃がんのリスクを高めることは「ほぼ確実」だ。
国際的には1日5、6グラムが目標とされる。
ただ、がん研究センターは男性9グラム、女性7・5グラムとしている。
同センターの津金昌一郎・がん予防・検診研究センター長は
「5、6gでは日本食が成り立たなくなってしまうので、達成できる値にした」と説明する。
<野菜・果物>
野菜や果物は、不足すると食道がんのリスクを「ほぼ確実」に上げる。
1日あたり400グラムの摂取が目標とされ、
野菜を小鉢で5皿分と、果物1皿分を合わせた程度になる。
熱い飲食物も食道がんのリスクを「ほぼ確実」に上げるという。
<肥満・痩せすぎ>
肥満ややせ過ぎも影響する。
BMI値が、30以上でがんのリスクを明らかに高めるが、日本人で該当する人は少ない。
欧米人とは異なり、太り過ぎよりやせすぎの方が寿命を縮めているという。
<運動>
リスクを下げそうなのは運動だ。
大腸がんには「ほぼ確実」、乳がんには「可能性あり」と判定されている。
デスクワークの多い人には、毎日1時間程度の歩行と
週1回30分程度のランニングなどが勧められている。
<コーヒー>
コーヒーも肝がんのリスクを下げるという研究結果がある。
さらに詳しいデータが必要で、津金さんは
「ふだん飲んでいない人に無理に飲むよう勧める段階ではない」と話す。