乳幼児に「手足口病」流

乳幼児に「手足口病」流行 手洗い、うがいを 
http://www.tokyo-np.co.jp/article/living/health/CK2013080602000147.html



夏風邪の一種とされる、ウイルス感染症手足口病」が、乳幼児の間で流行している。
国立感染症研究所への患者報告数は、この十年では、大流行となった二〇一一年に次ぐ多さ。
専門家は、手洗いなどで感染の拡大を防ぐよう呼び掛ける。


「今年は大流行。七月上旬から中旬は、患者の三分の一ぐらいは手足口病でした」
名古屋市のコスモスこどもクリニック院長の前田敏子さんは話す。


一般的に手足口病は、
手のひらや足の裏、口の中に、水ぶくれのような米粒大の発疹ができ、発熱することもある。
患者の多くは四歳以下の乳幼児で、大半は二歳以下だ。


国立感染症研究所に全国の三千の医療機関から報告があった患者数は、
最新の一週間(七月十五〜二十一日)で一カ所あたり八・〇九人。
昨年同時期の七倍。大流行といわれた一昨年に迫る勢いだ。


流行の中心は、西日本から関東に移っている。
都道府県別では埼玉県が一八・六九人と最も多く、
東京都一三・七一人、大分県一二・六四人と続く。
関東では軒並み過去十年の最多患者数を更新している。
関東、九州、中国、東海地方で警報レベルの「五人」を超える都府県が多い。


かかったウイルスには免疫ができるが、
病気を起こすウイルスは複数あり、何度もかかる。
ウイルスにより、症状が微妙に異なる。
一昨年に比較的多かった、発疹が肘や膝まで派手に広がるウイルスが、
今年も多く報告されている。
ウイルスをたたく薬はないが、多くの場合、特に治療をしなくても一週間程度で治る。


ただし、気を付けたいのは二点。
一点目は口の中の発疹に伴う痛みで、
食が細くなり、脱水になりやすくなること。
愛知県衛生研究所長の皆川洋子さんは
「まだ、脱水を起こしやすい暑い日が続く」と注意を促す。
脱水した場合は、点滴などの対症療法をする。


二点目は、まれだが髄膜炎になる危険性があること。
前田さんは「高熱が長引く、頭痛、嘔吐などの症状があれば
髄膜炎脳炎の可能性がある。再受診して」と呼び掛ける。


一方、名古屋市の総合上飯田第一病院小児科部長の後藤泰浩さんは
「三九度以上の高熱、嘔吐、不機嫌などの症状が出たら要注意。
そうでなければ、安静にして体力の消耗を避けるなど一般的な夏風邪の対応で済む」
と指摘する。


感染は主にくしゃみのしぶきで広がる
水ぶくれが破れ、内容物が手につき、口などの粘膜を介してうつることもある。
皆川さんは「手洗い、うがいが最大の予防策。
便には数週間にわたってウイルスが出るので、おむつの処理後にも、よく手洗いを」
と呼び掛ける。
タオルを共有しないことも、感染の拡大防止に有効という。