RSウイルス警戒の季節に

RSウイルス警戒の季節に せきと鼻づまりは要治療
http://sankei.jp.msn.com/life/news/140828/bdy14082811300004-n1.htm



「RSウイルスには2歳までに感染するといわれている。
逆に言えば、百パーセント感染を免れることはできない」と話すのは、
日本小児科医会理事で自然堂峯小児科 峯真人医師だ。


RSウイルスの感染経路は接触感染と飛沫感染の2つ。
RSウイルスが付着した服やドアノブなどに触ったり、
鼻水やたんに含まれるRSウイルスを吸い込んだりして感染する。
一般的な風邪症状を起こすウイルスだ。


乳幼児では平均4、5日の潜伏期間後、発熱(38〜39度)や鼻水、
せきなどの症状を起こし、治まるまで最長2週間かかる。
気管支炎や肺炎など下気道炎、無呼吸症状を引き起こしやすいのも特徴だ。
海外調査では、1歳までに70%、2歳までに全員が感染。
初感染の乳幼児の25〜40%が下気道炎になり、
0・5〜2%が重症化のため、入院するとの報告がある。


生後6カ月以内の乳児や早産児(在胎期間35週以下)、
気管支肺異形成症や先天性心疾患、ダウン症などの基礎疾患がある場合、重症化しやすい。
こうした「ハイリスク乳児」には抗体製剤が保険適応となる。


峯医師は今月、生後数カ月の乳児をRSウイルス感染症と診断した。
乳児は鼻の調子が少しおかしく、朝のミルクを飲んだ後も顔色が少し悪い程度だった。
「数時間後に突然、無呼吸症状に陥った、と運ばれてきた。
RSウイルス感染症は発熱やせきが必ず出るとは限らず、
分かりやすい症状がないまま重症化することもある」。
乳幼児突然死症候群の死亡事例でRSウイルス感染が確認されることもあり、
乳幼児の体調急変や突然死の原因としても考えられている。


◆手洗い、うがい励行
乳児は口呼吸ができないことを踏まえ、
峯医師は鼻づまりを起こしたら医療機関での受診を勧める。
「医師の立場から見ると、鼻水やくしゃみはさほど問題はないが、
せきと鼻づまりは要治療状態と判断する」。
呼吸が浅くて回数が多かったり、ゼイゼイ息をしたりすると下気道炎の可能性がある。
機嫌が悪い
ミルクが飲めなかったり飲んでもすぐにぐずって起きてしまう
夜、眠ってくれない−などの場合も医師の診察を受けた方がいい。


ワクチンがないRSウイルス。
家族ができることは、手洗い、うがいの習慣化
風邪をひいている家族はマスクを着用し、乳幼児に近寄らない
風邪の人との接触をできるだけ控える−を心掛ける。
また、知らぬ間に感染源とならないためにも、乳幼児のいる家庭を訪問したり、
乳幼児を抱いたりする機会を得た人も家族同様の気遣いをする。
促されることがなくても、手洗いやうがいを行うのが乳幼児の健康に対する配慮だ。


物に付着したRSウイルスは4〜7時間は感染力があるため、
乳幼児が触れる物や場所をアルコール消毒するのも有効だ。


◆集団生活で罹患率アップ
RSウイルス感染症で、基礎疾患のない乳幼児の重症化原因として挙げられているのが、
兄弟姉妹の存在、保育施設の利用、家族の喫煙、母乳期間が短いなどだ。
乳児期から保育施設を利用する家庭も増え、集団生活を通じての感染事例も多い。


2歳未満乳幼児の母親1030人(保育施設利用者515人)に行った
乳幼児の健康などに関する意識調査(アッヴィ合同会社、東京都港区)によると、
RSウイルス感染症と診断を受けたのは全体の9.2%。
非利用者の5.4%に対し、利用者は13.6%と、2.52倍だった。
感染予防につながる手洗いを実践していたのは全体の26.2%にとどまった。
峯真人医師は「RSウイルス感染症は一度で完全な免疫は得られず、
何度も罹患する子供もいる。
集団生活をしている以上、ウイルスにさらされると理解すべきだ」と話している。