2011 #50
インフルエンザワクチン学術講演会 アステラス
ANA Laguna Garden Hotel
【特別講演】
インフルエンザ診療のpros and cons 〜各国の被害の違いから見えてくること〜
渡辺彰先生(東北大学加齢研究所抗感染症薬開発研究部門教授)
インフルエンザはいつからあったのか?
B.C.430〜427年
ギリシアの軍人ツキジデスが
「アテネにおける大疫病によりアテネ人に多数の死者が出て
アテネとスパルタとの間のペロポネソス戦争が終結した。」という記録を残している。
この大疫病はインフルエンザであったと推定されている。(NEJM 1985)
B.C.412 ヒポクラテス
「ある日突然に多数の住民が高熱を出し、震えがきて咳がさかんになった。
たちまち村中にこの不思議な病が拡がり、住民たちは脅えた。」
日本では862年「三大実録」
「1月自去冬末、京城及畿内外、多患、咳逆(シワブキ)、死者甚衆・・・」とある。
2009年のパンデミックインフルエンザによる日本での死亡数199人。
アメリカでは推計12000人が死亡、日本の25倍の死亡率
妊婦の死亡はアメリカでは56人であったのに対し、日本ではゼロであった。
この差は、ワクチンの接種率、医療機関への早期受診、抗インフルエンザ薬の早期投与
などが大きく関与している。
抗インフルエンザの新規薬剤3剤は国産品で
我が国は抗インフルエンザ薬の開発において世界のトップである。
ペラミビル(ラピアクタ)、イナビル(ラニナミビル)
ファビピラビル(富山化学)=RNAポリメラーゼ阻害剤