PCI後はクロピドグレルのみでも有効

Lancet誌から
抗凝固薬使用者のPCI後の抗血小板療法はクロピドグレルのみでも有効
アスピリン+クロピドグレルと比較したWOEST試験の結果
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/hotnews/lancet/201302/529203.html





抗凝固薬の長期服用が必要な患者に経皮的冠動脈形成術(PCI)を行う場合
その後の抗血小板療法に起因する出血リスクの上昇が懸念される。
オランダのTwee Steden病院のWillem JM Dewilde氏らは
推奨されるアスピリンとクロピドグレルの2剤を抗凝固薬に加えるより
クロピドグレルのみを追加した方が、あらゆる出血のリスクが低く
全死因死亡または心血管イベントのリスクも低く
ステント血栓症リスクには差がないことを示した。
試験の結果は、Lancet誌電子版に2013年2月13日に報告された。


著者らは、クロピドグレルを単剤で用いた場合と
クロピドグレルとアスピリンを併用した場合の安全性と有効性を評価する
オープンラベルの多施設無作為化試験をオランダとベルギーの15施設で行った。


08年11月から11年11月まで患者登録を行い
抗凝固薬を長期にわたって服用する必要があり
PCIが適応になる18〜80歳の患者573人を登録した。
クロピドグレル(維持用量は75mg/日)単剤(抗凝固薬と合わせて2剤併用、284人)
またはクロピドグレル(同75mg/日)とアスピリン(80〜100mg/日)
(抗凝固薬と合わせて3剤併用、289人)に割り付けた。


あらゆる出血エピソードは
2剤併用群の54人(19.4%)と
3剤併用群の126人(44.4%)に認められた。
ハザード比は0.36(95%信頼区間0.26-0.50、P<0.0001)。
複数回の出血は
2剤併用群の6人(2.2%)
3剤併用群の34人(12.0%)が経験していた。
1回以上輸血を受けた患者は
2剤併用群が11人(3.9%)
3剤併用群は27人(9.5%)で
オッズ比は0.39(0.17-0.84、P=0.011)になった。


2次評価指標に設定された複合イベントをPCIから1年間に経験した患者は
2剤併用群の31人(11.1%)と
3剤併用群の50人(17.6%)で
ハザード比は0.60(0.38-0.94、P=0.024)となった。
ベースラインの患者特性で調整してもハザード比は0.56(0.35-0.91)で、有意差を認めた。


1年間の全死因死亡は
2剤併用群が7人(2.5%)
3剤併用群が18人(6.3%)で
ハザード比は0.39(0.16-0.93、P=0.027)と有意差を示した。


小規模な試験ではあるが、得られたデータは
抗凝固薬を服用中の患者には、PCI後にアスピリンを使用せず
クロピドグレルのみを投与することにより、血栓症リスクを高めることなく
出血リスクを有意に低減できることを示した。