釣藤散

長年悩んでいためまいや頭痛が速やかに消失した2例
福原 恵子 先生
http://www.kampo-s.jp/magazine2/214/insho.htm



◆慢性疾患が漢方治療で速やかに消失
数十年間にわたり悩んでいた症状のほとんどが、
釣藤散を開始してからわずか数時間〜数日で消失したという症例を2つご紹介いたします。


◆80歳の男性、主訴はめまい
まず1例目は80歳の男性です。主訴はめまいです。
約40年前からほぼ毎日のめまい、肩こりに悩まされてきました。
浮動性のめまいが主ですが、ひどい時は回転性になります。頭痛も時々あります。


耳鼻咽喉科で精密検査を受けても異常がないといわれ、
メシル酸ベタヒスチンの内服を続けておられましたが効果ははっきりしません


釣藤散エキス7.5g/日を分2で処方しました。
すると内服を開始して2〜3日後にはめまいは明らかに減り、5日目にはほぼ消失しました。
そして8週間後には頭痛や肩こりまですっかりなくなりました。
「40年も悩んできたのは何だったのかと思います」とおっしゃっていました。


◆77歳の女性、主訴は頭痛
2例目は77歳の女性です。主訴は頭痛です。若い頃から頭痛持ちでしたが、
特にここ10年間は毎日、重だるいような頭痛があるということでした。


1日の中でも特に朝起床時は調子が悪くて頭痛がつらく感じられ、
目の奥が痛くなったり、ひどい肩こりも時々起こるそうです。
鎮痛薬をしょっちゅう飲んでおられ、
そのためか胃の調子も悪くて心窩部もムカムカしていると訴えられます。


釣藤散エキス7.5g/日を分2で処方しました。
2週間後に受診されましたが、
「先生、もう、びっくりしましたよ。すぐ効きました。
飲み始めた初日の最初の1袋を飲んでしばらくしたら
徐々にすーっと頭がスッキリしてきたんです」とやや興奮気味に話されました。


その後も内服を継続していますが毎日の頭痛は全くなくなり、
ストレスや疲れがひどい時のみ時々頭痛がするという程度になりました。
胃の調子も良くなり、最初の受診の時に常に眉間に寄っていた皺がなくなり、
「魔法のようです」と穏やかな笑顔で話されました。


◆釣藤散の特徴
釣藤散は
釣藤鈎、菊花、防風、人参、茯苓、石膏、麦門冬、半夏、陳皮、生姜、甘草
の11味からなります。
中心的な働きをするのは釣藤鈎です。
釣藤鈎には肝を鎮めて気の上衝を抑える働きがあります。
また、菊花という目の充血、かすみ目などの目の疲れをほぐす生薬が入っています。
これは現在発売されている医療用漢方エキス剤の中では釣藤散にしか入っていません。
目が充血していたり重い、などと
目の症状を訴える人の頭痛に良いということがお分かりいただけると思います。


また、釣藤散のもう1つの特徴は
人参、茯苓、半夏、陳皮、生姜、甘草
といった脾胃を補う生薬がたくさん入っていることです。
ですので、2例目の症例のように頭痛以外に
胃の調子が悪いとか胃腸が弱いという人に良い適応があります。