五苓散

ツムラ漢方スクエア 私の漢方診療日誌
あきば伝統医学クリニック 來村昌紀
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私が漢方薬を使うきっかけとなった頭痛の患者さんからご紹介いたします。

症例1

患者さんは78歳の女性で、この方は以前より30年来の頭痛持ちでありました。
それが天気の悪くなる日、雨の降る前の日などになると特に頭が重く
たびたび救急受診をされていました。


当時の私は漢方が好きとか嫌いとかそういうレベルではなく
漢方についての知識が全くなく、漢方なんて効くのか?という思いでした。


漢方の勉強会で「天気をみる頭痛には五苓散が効く」という話を聞き
ともかく、効くか効かないか分からないが、副作用も少なそうだし
他の手段も思いつかないし、とりあえず五苓散7.5g分3食前から使ってみました。


五苓散を投与して4日目ころより頭痛は改善し、10日目ころより
30年来の慢性連日性頭痛はうそのようにすっかりと治まり
定期受診だけで救急受診されなくなったのです。
おばあちゃんからは「この30年、こんなにあたまがすっきりしたことはない」
と神様のように感謝されました。


私はこの経験をしてから、漢方薬は効くんだなと思い
これはきちんと勉強しようと思ったわけです。

症例2

患者さんは86歳の女性で
めまいで部長先生の外来にかかっておられました。
ある日、部長先生がおられない時に救急受診され、私が診せていただき
いつもの炭酸水素ナトリウムなどの点滴を致しました。
ところが、点滴の途中で、余計に気分が悪いと訴えたために
点滴を中止し、しばらくベッドに安静にしていただきました。


ちょっと舌をみますと、舌が腫大し
歯のあとがくっきりといくつもついていたのです。
はは〜ん、これは水滞(水毒)によるめまいだなと考え
五苓散2.5gをその場で薬局から取り寄せ
白湯で飲ませてしばらく安静にしていただきました。
すると1〜2時間くらいでめまいや気分不良がおさまり
何とか自宅へ帰れるようになったため
五苓散5g分2を処方して帰宅していただきました。


その後、その患者さんはめまい発作がなく、部長先生の外来を受診し
五苓散の効果を延々と部長先生に語ったようです。