うつ病

病の起源 第3集
うつ病 〜防衛本能がもたらす宿命〜
http://www.nhk.or.jp/special/detail/2013/1020/index.html


なぜ、私たちはうつ病になるのか?
その秘密は、意外にも5億2千万年前に誕生した魚の研究から明らかになってきた。
魚でもある条件を作ると、天敵から身を守るために備わった
脳の「扁桃体」が暴走し、うつ状態になることが分かってきたのだ。


さらに2億2千万年前に誕生した哺乳類は、
扁桃体を暴走させる新たな要因を生みだしていた。
群れを作り外敵から身を守る社会性を発達させたことが、
孤独には弱くなりうつ病になりやすくなっていたのだ。


そして700万年前に人類が誕生。
脳を進化させたことで高度な知性が生まれ、文明社会への道を切り開いてきた。
しかしこの繁栄は、皮肉にも人類がうつ病になる引き金を引いていた。
文明社会によって社会が複雑化し、
人間関係が一変したことが、扁桃体を暴走させ始めたのだ。

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正常なゼブラフィッシュは自由に泳ぎまわりますが、
うつ状態のゼブラフィッシュはあまり動きません。
うつ状態のゼブラフィッシュは天敵の魚と1ヶ月間も同じ水槽に入れられていたのです。
はじめは素早く動き回っていたのですが、ある時期を境にうつ状態に。
研究者がゼブラフィッシュのストレスホルモンの量を調べたところ、
うつ状態の方は大量に出続けていました。
ストレスホルモンの分泌がとまらなくなるとうつ状態になってしまうのです。


チンパンジーにもうつ病があります。
チンパンジーは高度な集団社会を作って暮らしています。
しかし、孤独になったチンパンジーでは
ストレスホルモンの値が高いことが分かっています。


ハッザの人々を対象としたうつ病の研究では、うつ病の人はいませんでした。
研究者はハッザの人々がうつ病と無縁なのは、その暮らしにあると考えています。
彼らは獲物を分け隔てなく平等に分けます。
獲物をしとめるには集団の結束が重要でした。
そのためには獲物を分け合うなど平等であることが欠かせなかったのです。
平等はうつ病の原因を抑えこむ働きがあります。
また集団の強い絆は天敵から身を守るのに有利でした。


メソポタミア文明あたりから、人類は農耕社会とともに階級社会を築いていきました。
初めて、権力と富をもつ者と持たざる者との間に、貧富の差が生まれたのです。