大人のアトピー肌を、驚くほどきれいに治す方法

大人のアトピー肌を、驚くほどきれいに治す方法  2013/10/13
http://www.nikkei.com/article/DGXNASFK1800H_Y3A910C1000000/





図1 アトピー性皮膚炎の人は肌バリアの機能が低下して異物が入りやすい状態。
かくという刺激で、さらに角層が傷つき、肌バリア機能が低下。
異物などが侵入しやすく、炎症が起きやすい状態になってしまう


◆汗対策で良い状態をキープして、かくのをストップ
アトピー性皮膚炎の人は、肌バリアの形成にかかわる
フィラグリン遺伝子に異常があるなど、もともと肌バリア機能が弱いことが多い」
東京慈恵会医科大学皮膚科学講座の上出良一教授。
つまり、乱れた角層から異物が侵入しやすく、
炎症が起きやすい状態になっているのだ(図1)。


治療は、肌バリア機能の回復が最優先になる(図2)。
「かくことで肌バリアは傷ついてしまうため、まず内服薬でかゆみを止める。
かゆみは炎症反応によるリンパ球の働きが原因。
ネオラールという薬は、リンパ球の働きをピンポイントで押さえ込み、
ぴたりとかゆみが止まる。
まったくかかない状態になるので、その間にステロイド外用薬で炎症を改善し、
肌バリア機能の回復をはかる」と上出教授。





図2 
(図上)炎症のある肌は、角層だけでなく、
肌の深部まで荒れており、さらに血管が膨張して赤みが出ている。
(中)ステロイド外用薬の使用で、血管が収縮して表皮の赤みが治まっても、
まだ肌の奥には炎症が残っている。
(下)肌がカサカサした状態から、「しっとり」状態になると、
肌バリア機能が回復したといえる


なかなか炎症が改善しない場合、外用薬の使い方を見直そう。
ステロイド外用薬を怖がって少量しか使わず、
その一方で肌をかくのが最悪のパターン。
ステロイド外用薬はうすく塗り込まずに、ベタつきが残る程度の量を使いたい」
と上出教授。


◆目指すは肌の奥まで炎症が消え、バリアが回復した状態
こうした治療を続けて、ステロイド外用薬の量を徐々に減らし、
治療の最終段階、保湿剤によるセルフケアを目指す。
「ただし、肌表面の状態が良くなっても、炎症が奥に潜んでいることも。
再発予防のために、炎症が消えてもしばらく週2回はタクロリムス外用薬
(リンパ球に働いてかゆみを止める)を併用するといい」と上出教授。


TARC(タルク)という血液検査でリンパ球の働きを調べることで、
炎症の程度を数値で把握できるようになった。
セルフケア時も定期的にチェックするとより安心だ。


◆セルフケア時は保湿のしすぎに注意
セルフケアで見直したいのは保湿剤の量。
「保湿剤は少なすぎても乾燥を招くが、使いすぎても顔ダニなどのトラブルに。
手で触ったときに、二の腕のような“しっとり感”があるのがいい状態」と上出教授。


外用薬の正しい使い方
「外用薬への抵抗からつける量が少なすぎる人が多い」と上出教授。
適切な量を使うことが改善の近道。


【 量 】適切な量をしっかり取る
【 塗り方 】ベタつく程度でちょうど良し