これも認知症「レビー小体型認知症」

これも認知症レビー小体型認知症
http://www.nhk.or.jp/kenko/kenkotoday/archives/2016/04/0419.html

レビー小体型認知症とは




レビー小体型認知症」は、
脳の中に「レビー小体」という変異したたんぱく質のかたまりが現れ、
これによって徐々に脳の神経細胞が壊されることで起こります。
進行にともなってレビー小体が現れる範囲が広がっていくため、
その場所によってさまざまな症状がでてきます。
レビー小体型認知症は、高齢者、特に75歳以上で発症することが多く、
最近では患者数は認知症のおよそ1割、50万人以上とする説もあります。

レビー小体型認知症 初期症状チェック





このチェック項目に2つ以上当てはまれば、レビー小体型認知症の可能性が疑われます。
最も特徴的なのが、実際にはいないのに
“知らない人がいる、虫がいる”などと訴える「幻視」です。
特に暗がりでみえやすく、
“床が水で濡れている、煙が出ている”などと訴えることもあります。
幻視は、脳の頭頂葉、側頭葉から後頭葉にある「視覚連合野」という部分が、
レビー小体により障害されるのが原因と考えられています。
ぼんやりしているときとはっきりしているときの差が激しい
「認知の変動」を繰り返すのも特徴で、
一日の中で変動することもあれば、数日の周期で変動することもあります。
小刻みにたどたどしく歩き、よく転びそうになるのは「パーキンソン症状」といって、
脳の障害により運動機能が悪くなる症状です。
睡眠中、大声で寝言を言ったり、手足を激しく動かしたりするのは
レム睡眠行動異常症」といって、夢を見ているレム睡眠のときに起こります。
通常、レム睡眠のときは筋肉がゆるんでいるため、
脳からの指令が体に届かなくなりますが、
レビー小体型認知症では筋肉がうまくゆるまないため、
夢に合わせて叫んだり、手足が動いたりしてしまいます。
また、起きた直後に寝ぼけて夢の続きの話をすることもあります。
落ち込むことが多くなる「うつ」症状は、うつ病と同様、前頭葉の障害と関係しています。

レビー小体型認知症パーキンソン病




パーキンソン病」も、同じくレビー小体が原因で起こる病気です。
レビー小体が主に「脳幹」に出現するとパーキンソン病となります。
レビー小体型認知症の場合、進行に伴いパーキンソン病と同じくらい
体が不自由になる人もいますし、パーキンソン症状があまり起こらない人もいます。

レビー小体型認知症の検査

レビー小体型認知症の検査では、
まず家族を交えた問診や心理テストによって、
日頃どんな症状が起きているか詳しく知ることが最も重要です。
そして、パーキンソン症状を確認するために手足の動きや歩き方のチェックを行います。
また、レビ-小体型認知症では、
便秘や汗を多量にかくなどの「自律神経症状」がおこるので、
その1つである起立性低血圧を寝た状態と立った状態での血圧測定で確認します。
これらの検査で診断が確定しなければ画像検査を行います。
画像検査にはいくつかの方法があり、
最も多く行われるのが、脳の血流分布を映し出す「SPECT」です。
ドパミン・トランスポーター・イメージング」は、
脳できちんとドパミンが分泌されているかどうかを見る検査です。
「心筋シンチグラフィ」は、自律神経の働きを調べるため心臓を映す検査です。
自律神経が正常に働いていると心臓の形が映し出されますが、
自律神経に障害があると心臓の形が映らなくなります。

レビー小体型認知症の薬

レビー小体型認知症は薬に敏感でその種類によって悪化することがあるため、
薬は必要最小量を使うのが基本です。
小刻み歩行やふるえ、筋肉のこわばりがある場合はパーキンソン病の薬を使います。
こうしたパーキンソン症状が強いほど車いすや寝たきりに進行しやすいので、
薬で症状を抑えることが大切です。