老後に孤独に暮らせるのは、お金持ちの国だからこそ

国をあてにし過ぎず、貯蓄は「義務」  曽野綾子さん
http://www.nikkei.com/money/features/35.aspx?g=DGXNASFK24033_24082012000000

老後に孤独に暮らせるのは、お金持ちの国だからこそ

ある人と話していて「孤独死する人はかわいそう」と言うから
「アフリカの本当に貧しい国では孤独死なんてありえませんよ」
と私はいいました。


そういった国では家の広さはわずか2畳ほど。
家の入り口にドアなどなくてボロ布が下がっているだけですから
生死はもちろん、今何をしているかもすべて周囲に筒抜けなのです。


孤独に暮らせるというのはお金持ちの国のぜいたくなんですよ。
だから老後に孤独に暮らしている人がみな気の毒だとは私には思えません。
恐らく人とつきあうのがわずらわしくてそうしている人もいるでしょう。
それも人生のひとつのチョイスとしてあっていいんじゃないでしょうか。


「風が吹き込まない場所で乾いた寝床に寝られるのは、
なんてありがたいことだろう」
とつくづく感じます。雨降りの日などはことさらです。


いつでも飲み水があり、電気が供給され、雨にぬれずに
一応あたたかい部屋で暮らせる家があることは大変なぜいたくなのです。
実際、それをかなえられない人が常に世界にはたくさんいますから。

年を取っても国をあてにし過ぎず、貯蓄は「義務」

私は高齢者といえども働くべきだし
働かせることで経済的効果を生む政策があっていいと思います。
80歳でも90歳でもできる仕事はあるでしょうし、また、作ってあげたらいい。

老人ホームでお遊戯させるなんていうのはやめて、老人を働かせること。
たとえ1カ月に3000円でも収入を得ることができるようにしたらどうでしょう。

若い頃に比べて、役に立たなくなれば、時給が安くなるのは当然ですよ。
それでいいとなぜ思わないんでしょう。
それが分からないようなバカな年寄りにならない方がいいですね。

80歳でも90歳でも働きたくないものは食うべからず

聖書にも「働きたくないものは食べてはいけない」と書いてあるんです。
「働けない」人じゃないですよ。
働きたくない人、つまり怠け者は食べさせなくていいということです。


曽野綾子(その・あやこ)
文筆活動に加え、社会活動にも力を注ぐ。
カソリック教徒でローマ法王庁よりヴァチカン有功十字勲章受章。