50歳からの食事 脳より賢い腸に従え

50歳からの食事 脳より賢い腸に従え
http://www.nikkei.com/article/DGXNASFK2501T_V20C14A2000000/?dg=1


(1)幸せを感じさせるのは脳ではなく、腸

腸は、脳よりもずっと賢く、人体にとって最も重要な臓器です。
腸内細菌は消化機能だけでなく、ビタミン類を合成したり、
免疫を活性化して病原菌を排除したりする働きも担っています。
さらに、幸福感をもたらすドーパミンセロトニンといった「幸せ物質」の前駆体を合成し、脳へ送り込んでいるのも腸内細菌。
つまり、若さを保ち、病気を防ぎ、幸福感を与えてくれるのは、腸なのです。

(2)本当は、腸は炭水化物を嫌がっている

50代ともなれば、腸をいたわる食べ方に変える勝負の時期。
なぜなら、50歳からは体を動かすためのメインエンジンが切り替わるからです。
体を動かすエンジンは2種類あり、
一つが炭水化物を糖に変え、瞬発力を生む「解糖エンジン」。
もう一つは、酸素を燃料に持続130309chou 力を生む「ミトコンドリアエンジン」です。


活動的な30〜40代のメインは解糖エンジンで、その原料はご飯やパンなどの炭水化物。
50代を迎えると、今度は徐々にミトコンドリアエンジンにメインが切り替わります。
腸を主に動かしているのがこのミトコンドリアエンジンで、酸素を原料としています。


ところが、50歳を過ぎてからも変わらずお菓子やパンを食べていると、
解糖エンジンが活発になり、ミトコンドリアエンジンがうまく回らない。
すると、取り込んだ酸素は使われないまま活性酸素になり、腸にダメージを与えます。


日本人の4大疾病のがん、心筋梗塞脳卒中、糖尿病のすべてに活性酸素が関係します。
中高年でこれらの病気にかかるのは、2つのエンジンを切り替えられないのが一因。
50歳を過ぎたら、炭水化物類は食べないほうがいいのです。

【腸のオキテ(3)】 大きなウンコ、出てますか?

便の80%は水分で、残りのうち3分の1は腸内細菌、
3分の1ははがれた腸細胞で、3分の1は食べたもののかすです。
腸がよく働いている人ほど腸内細菌が多く、食物繊維が多いため便は大きくなる。
また、臭いが少なく、黄金色で練り歯磨きくらいの硬さがベスト。
それがスポーンと出たら、腸からの良い便りです。


逆に便が小さく、臭いがきつくて色も黒いようなら、腸内細菌がピンチの知らせ。
食物繊維が豊富な野菜や果物、乳酸菌が豊富な納豆や味噌をせっせと食べましょう。
特に色の濃い野菜は活性酸素を除去する抗酸化物質、
フィトケミカルが豊富ですから、一石二鳥です。


好きな人と気分よく食事することも、腸にとって大切。
楽しく食べると免疫力が上がります。
脂肪を燃焼させる細胞を活性化し、太りにくくなることも分かっています。


ちなみに、私は週に2回はすてきな女性といいレストランで肉を食べるようにしています。
なぜなら、中高年以降はたんぱく質コレステロールが不足しがちになるからです。
たんぱく質を取らないと、それを材料とするホルモンの分泌も悪くなります。
50代を過ぎたら週2回は肉、これは鉄則です。


私は忙しくても、ジムで短時間でも泳いだり、温泉に行って体を温めたりしています。
これは、ミトコンドリアエンジンをよく動かすため。
酸素を取り込みながらゆっくりとした運動を行うこと、
体を温めることはミトコンドリアエンジンを活性化させ、腸も喜びます。


<この人に聞きました>藤田紘一郎さん
免疫学者。寄生虫学、熱帯医学、感染免疫学専門。免疫と腸のスペシャリスト。
東京医科歯科大学名誉教授。人間総合科学大学教授。