クロミッド

笹嶋勝の「クスリの鉄則」

経口の排卵誘発薬の特徴
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/di/column/tessoku/201206/525682.html

排卵誘発の基礎

不妊の原因の約30%は、内分泌的原因による排卵障害であるといわれています。
排卵誘発のためには、FSH(卵胞刺激ホルモン)製剤
hMG(ヒト閉経ゴナドトロピン)作用およびLH(黄体形成ホルモン)作用を有する
hCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)製剤を用いたゴナドトロピン療法などがあります。


薬物治療としては
卵巣にたくさんの卵胞ができるのに排卵できない多嚢胞性卵巣症候群(以下、PCOS)や
薬剤性、心因性、急激な体重減少などによる視床下部無月経
エストロゲンの分泌が障害されている第2度の無月経を除く)の場合に
第一選択となるのが、クロミフェンです。PCOSの中で肥満、耐糖能異常
インスリン抵抗性のある患者に対してはメトホルミンが併用されます。
実際は、これらに該当しない患者にも用いられることがあります。
最近では、アロマターゼ阻害薬が排卵誘発目的で使用されることがあります。

クロミフェンの特徴

  • 用法・用量

月経開始または消退出血2〜5日目から、5日間投与します。
原則としてこのクールを3回繰り返します。
添付文書上は、最初のクールは1日投与量を50mgとし、無効の場合2クール目を
1日100mgとし、最大でも1日100mgを超えないようにすると記載されています。
これは、卵巣異常腫大や卵巣嚢腫が、1日50〜75mgの投与ではまれであるのに対し
1日100mg〜200mgの投与で多くなるという、用量依存性が認められたためです。
しかし実際には、1日150mgまで使用されています。

  • 治療効果

単一排卵が望めるということが、他のゴナドトロピン製剤に比べ良い点です。
また、報告により異なりますが、排卵率が70〜80%程度と高いことも特徴です。
一方で、妊娠率は排卵した症例の約20%と、低くなります。
この原因は、クロミフェンが持つ抗エストロゲン作用によって
子宮内膜の菲薄化や頸管粘液減少が生じるためとされています。

  • 注意点

肝障害や肝疾患のある患者への投与が禁忌です。
また、霧視などのような視覚に影響を与える副作用も報告されており
「自動車の運転等、危険を伴う機械の操作に従事させない」
旨の注意が添付文書に記載されています。