高齢者の便秘

きょうの健康 なんでも健康相談
回答:慶応大 渡辺賢治先生


Q. 10年前から便秘に悩まされ、2年ほど前から便が固くなり
  月に2,3回は指でかき出しています。(80歳男性)


NHK きょうの健康 2012年 02月号 [雑誌]

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A. 漢方では
高齢者のコロコロ便に対してよく用いるのが潤腸湯と麻子仁丸です。
潤腸湯は当帰、地黄といった体を潤す生薬が配合されており
皮膚の乾燥にも良い効果を有します。
潤腸湯も麻子仁丸もどちらも腸管の動きをよくする大黄が入っています。
大黄にはセンノシドが入っています。センノシドの吸収は個人差があり
腸内細菌による影響が大きいため、人によって反応がさまざまです。


ほかには芒硝という鉱物があります。
芒硝の成分は硫酸マグネシウム正倉院にも収められている薬です。
大黄と芒硝の両方が入った桃核承気湯、防風通聖散などは
下剤としては強い部類に入ります。


日頃胃腸があまり丈夫ではなく、冷えると下痢を来すような人には
大建中湯や小建中湯がお勧めできます。
大建中湯には山椒が入っていて腸の動きを直接に刺激します。
小建中湯には山椒が入りませんが、
やはりお腹を温めて腸の動きをよくする働きがあります。