むずむず脚症候群に悩む高齢患者
http://medical.nikkeibp.co.jp/inc/mem/pub/di/diquiz/ より一部改変
◆Question
80歳の女性の娘
母は最近、夜、布団に入ると「足がかゆい」とか
「虫が這っているようだ」と言い出すようになりました。
今日、不眠外来でむずむず脚症候群と診断されたのですが
この紙には抗てんかん剤と書いてありますよね。
母はてんかんと言われたことはありませんが
足のかゆみとどういう関係があるのですか。
処方せん
リボトリール錠0.5 1錠 分1 夕食後 14日分
◆服薬指導
むずむず脚症候群という病気は
日本では成人の20人に1人がかかっているともいわれています。
患者は高齢者に多く、腎不全や貧血がある方や、妊婦さんなどもかかりやすいそうです。
リボトリールは、てんかんのお薬ですが
むずむず脚症候群の症状も抑える作用があることが知られています。
◆解説
むずむず脚症候群(Restless Legs Syndrome;RLS)とは、主に夜間臥床時に、大腿部や下腿部(主に深部)に、痛み、かゆみ、虫が這うような感覚、むずむず感などの不快な感覚異常が生じる原因不明の症候群である。不眠症の原因の一つであり、日本の成人における有病率は約5%といわれているが、その認知度はあまり高くない。
この感覚異常は、下肢の伸展と屈曲を繰り返したり、マッサージをしたり、歩き回ったりすると一時的に改善するが、安静にすると再び増悪する。このため、患者は常に足を動かしたいという欲求に駆られ、入眠障害が生じる。
さらに、本症の患者の9割以上が、入眠後に周期性四肢運動障害を合併するといわれている。周期性四肢運動障害とは、足首がピクピク動くなどの下肢の不随意運動が、数秒から数十秒に一度の周期で繰り返し生じる病態である。これによって中途覚醒が生じ、不眠が増悪してしまう。
むずむず脚症候群や周期性四肢運動障害は、鉄欠乏性貧血患者、慢性腎不全患者(特に血液透析中)、パーキンソン病患者、妊婦などに比較的高頻度に見られるほか、カフェインの多量摂取、胃切除、うっ血性心不全、関節リウマチ、多発神経炎、脊髄疾患、葉酸欠乏、ビタミンB欠乏なども誘因になるといわれている。バルビタール系薬剤の離脱期や、三環系抗うつ剤服用時にも見られることがある。ただし、全体としては、このような基礎疾患や誘因のない高齢者に最も多く見られる。
むずむず脚症候群と周期性四肢運動障害の治療には、パーキンソン病に用いられる、メシル酸ブロモクリプチン(商品名:パーロデルほか)などのドパミン作動剤が有効である。その背景として、中枢のドパミン作動性神経機構の異常があるのではないかと考えられている。このため、レボドパ(商品名:ドパストンほか)やレボドパ・カルビドパ(商品名:メネシットほか)などのL-ドーパ含有製剤も用いられる。投与量はパーキンソン病で使用する量の4分の1から2分の1でよいとされる。ただし、これらの薬剤は、長期投与による耐性(効果減弱)が生じやすい。
このほか、抗てんかん剤のクロナゼパム(商品名:リボトリールほか)も、精神運動発作や自律神経発作を抑えるほか、入眠促進や中途覚醒の抑制も期待できるため、処方されることが多い。用量は通常0.5〜1mg/日程度である。これらの薬剤でも効果のない場合に限り、短期間に限ってコデインなどのオピオイド製剤も使用される。
誘因となり得るカフェインの摂取を避け、鉄欠乏性貧血などの原疾患の治療を行うことも必要である。筋肉疲労を取り除くためのマッサージも、症状軽減に効果があるとされる。
(注)6年前の問題
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