笹嶋勝「クスリの鉄則」
プレタール:頻脈や胸痛の出現に要注意
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/di/column/tessoku/201007/516190.html
シロスタゾールは、抗血小板剤として繁用されている薬剤です。
抗血小板作用のほかに、末梢血管拡張作用も有していて、下肢の血流を改善します。
ほかに、血管内皮細胞に対する保護作用があるため
出血時間を延長せず、出血リスクが少ないという特徴があります。
また、ラクナ梗塞の2次予防効果に、唯一エビデンスを持つ薬剤です。
適応外では、冠動脈ステント留置後に、血栓による閉塞を防ぐ目的で
アスピリンとの併用が行われたり、洞機能不全症候群(徐脈や上室性頻拍を起こす)や
糖尿病性神経障害に用いられることがあります。
このように、多くの特徴を持ち有用な薬剤ですが注意すべきこともいくつかあります。
まず、忘れてはならないのは、本剤が「警告のある薬剤」であることです。
実際、シロスタゾールを服用すると頻脈や動悸を感じる患者は多くいます。
先述のように、適応外で洞機能不全症候群の治療に用いられますが
これは、この副作用を利用した使い方です。
動悸は、患者に不安を与えますし、また狭心症に至る場合もあるのですから
投薬時には動悸が発現する可能性があることと、胸痛を感じたら
すぐに連絡するように伝える必要があります。
またシロスタゾールは、「心不全に禁忌である」という点も処方鑑査上のポイントです。
以前、私が鑑査で気付いた症例ですが
糖尿病のしびれに適応外でシロスタゾールが処方されていた患者が
循環器内科で心不全と診断されましたが
その後もシロスタゾールの処方が継続されていました。
相互作用については、本剤が、CYP3A4で代謝されることから
グレープフルーツジュースなどの影響も考慮する必要があります。