甲状腺

NHKきょうの健康」より
http://www.nhk.or.jp/kenko/kenkotoday/archive/2010/0720/index.html

「橋本病」とは?


甲状腺に慢性の炎症が起こり、甲状腺ホルモンの分泌量が少なくなるのが「橋本病」です。
慢性甲状腺炎」とも呼ばれ、中年の女性に多くみられます。炎症が進行すると
甲状腺機能が低下して甲状腺ホルモンが十分に分泌されなくなります。
甲状腺ホルモンには体を活性化させる働きがあるため、量が少なすぎると
疲労」「だるさ」「低体温」などの症状が現れてきます。「うつ状態」になることもあります。

橋本病の治療


甲状腺機能が低下している場合は
甲状腺ホルモン薬(レボチロキシンナトリウム : チラーヂン)」を服用し
不足しているホルモンを補充します。
この薬は、体内で作られる甲状腺ホルモンとほぼ同じ成分なので
決められた量を守り、定期的に受診していれば、副作用などの問題はほとんどありません。
また、「ヨード」を大量に摂取すると甲状腺ホルモンが不足することがあるため
日常生活ではヨードを多く含む食品(海藻類など)をとりすぎないよう注意しましょう。

バセドウ病」とは?

バセドウ病」は
甲状腺ホルモンが過剰に分泌されることによって、さまざまな症状が現れる病気です。
バセドウ病の場合には首が大きく、軟らかく腫れるのが特徴です。
甲状腺ホルモンの分泌が過剰になる「甲状腺機能亢進症」の段階に至ると
新陳代謝が過度に高まり「激しい動悸」が現れます。
これが「高血圧」や「心不全」につながったり
カルシウムが骨から血液中に溶け出しやすくなって
骨粗鬆症」を発症する危険性もあります。
「汗をかく」「イライラする」などの症状があらわれることもあります。

バセドウ病の治療


バセドウ病の治療法には
「抗甲状腺薬による治療」「アイソトープ治療(放射線治療)」「手術」などがあり
まずは抗甲状腺薬による治療が行われます。
人によっては「発疹」「肝機能障害」「発熱」「急激な白血球減少」など
の副作用が起こることがあります。
アイソトープ治療(放射線治療)」では「放射性ヨード」が入ったカプセルを服用します。
この治療法は行える医療機関が日本ではまだ少ないのが現状です。
「手術」では、大きくなった甲状腺の一部を残し、大部分を切除します。
手術直後から甲状腺ホルモンの分泌を減らすことができますが、合併症が出る可能性があります。