スギ舌下免疫療法,アドヒアランス良好で1年目から効果を実感
https://medical-tribune.co.jp/news/2016/0120038251/
日本医科大学多摩永山病院耳鼻咽喉科部長・病院教授の後藤穣氏は,
スギ花粉症によるアレルゲン免疫療法を実施している患者に対する
アンケートの結果を第52回日本小児アレルギー学会で報告し,
「舌下免疫療法(SLIT)のアドヒアランスは良好で,
1年目から効果を実感している患者が多かった」と述べた。
スギもダニも舌下免疫療法が可能に
スギ花粉症のSLIT治療薬が2014年10月に発売され,
ダニをアレルゲンとするアレルギー性鼻炎に対しても2015年冬に販売が開始された。
SLITは,海外では既に複数が実用化されているが,
国内では新規の治療法であり,長期寛解や治癒を導くことができると期待される。
しかし,これまでの皮下免疫療法(SCIT)では
まれながら重篤な副作用があるというのが問題となっていた。
後藤氏は,2015年に新橋アレルギー・リウマチクリニックにおいて
スギ免疫療法を実施した患者
〔SCIT実施(皮下群)35例,SLIT実施(舌下群)14例〕
に対して行ったアンケートの結果を報告。
苦痛があった日数(なし〜ほぼ毎日の6段階)は,
2週間以内が皮下群で40%,舌下群では93%であった。
抗ヒスタミン薬などの薬剤投与日数は,
2週間以内が皮下群では54%,舌下群では50%であった。
皮下群では,免疫療法実施期間が長くなるほど症状が抑えられるという結果であったが
舌下群では1年目から効果を実感している患者が多かった。
舌下群における前年の花粉飛散シーズンとの症状の比較では,
72%が「前年の方がひどい」と答えていた。
同氏は「初年度としては良好な結果」と述べた。
約8割が効果を実感
さらに後藤氏は,
2014年11月〜15年1月に新規にSLITを開始したスギ花粉症患者102例
(男性44例,平均年齢51.17歳,平均罹患年数23.7年)を対象に実施した
「スギ花粉舌下免疫療法飛散後アンケート調査」の結果について報告。
連日の舌下投与の負担については「それほど負担ではなかった」(54%)が最も多く,
「全く負担ではなかった」(33%)が次いだ。
2週間の通院間隔の負担については「やや負担だった」(45%)が最も多く,
「負担だった」(24%),「それほど負担ではなかった」(23%)と続いた。
患者は2週間ごとの通院が負担と感じており,
毎日の舌下投与はそれほど負担に感じていないことが分かった。
SLITの効果の自覚としては,
「効いた」(33%),
「とても効いた」(26%),
「やや効いた」(19%)が上位で,
約8割が効果を感じており,好成績だったといえる(図)。
来年も続けたいかとの質問に対しては,99%が「継続したい」と答えており,
「継続しない」は0%であった。
舌下投与を毎日行うことができたかについては,
「毎日できた」(84%)が最も多く,
次いで「週1回くらい忘れた」(14%)であった。