食道がんワクチン など

ワクチン使いがん・花粉症治療 製薬各社が開発競争
http://www.nikkei.com/article/DGXLZO98670690Q6A320C1TJC000/


塩野義製薬食道がんの治療用ワクチンで臨床試験の最終段階に入った。
アステラス製薬は米ベンチャーと組み、
スギ花粉症などアレルギー疾患向けワクチンの開発に着手した。


塩野義が近畿大の研究成果などを生かしながら開発を進めるワクチンは
がん細胞に発生するたんぱく質の一種を人工的に合成したものだ。
これを体内に打ち込み、免疫細胞の働きを促す。
全国で約270人の患者を対象に治験を実施。
今後2年でワクチンの効果を確認し、製品化を目指す。


アステラスは米創薬ベンチャーのイミューノミック・セラピューティクスと
スギ花粉症やピーナツアレルギー向けに開発を始めた。
アレルギー疾患を発症した後に投与しても、治癒させる可能性があるという。


大塚製薬が挑むのはアルツハイマー認知症だ。
デンマークの製薬会社ルンドベックと共同で開発を進める。
第1段階の治験を早ければ2016年末にも終了する。
認知症の予防や進行を抑える効果を見込む。


製薬各社が治療用ワクチンの開発に力を入れる背景には
生活習慣病やがんなどの病気のメカニズムの解明がこの数年で大きく進んだことがある。
病気を引き起こす原因物質が特定され、
狙い通りの効果を発揮するワクチン作りが可能になってきた。


ベンチャー企業にも商機は広がる。
大阪大発ベンチャーのファンペップは2月、
医薬品卸大手のメディパルホールディングスと提携し、
糖尿病や高血圧などの生活習慣病に効くワクチンの開発に着手した。
今後3年程度で実用化にめどを付けたい考えだ。


ワクチンは製造コストも安く、
もともと人体に備わる免疫機能を使うので、副作用の心配が少ないとされる。
実用化できれば、世界的に需要が見込めるため、
ファイザーなど海外大手も開発を進めている。
調査会社の英エバリュエートファーマによると、
ワクチンの世界市場規模は14年の263億ドル(約2兆9千億円)。
予防だけでなく、治療用の用途も広がることで、
20年には347億ドルに拡大すると同社は予測している。