潰瘍性大腸炎 治療法は

医療相談室
Question  潰瘍性大腸炎 治療法は
http://www.yomidr.yomiuri.co.jp/page.jsp?id=111087



息子(27)が潰瘍性大腸炎と診断されました。
治療法が確立していないとのことですが、気をつける点や治療法を教えてください。
(57歳女性)


Answer  薬物 重症度に応じ投与
鈴木康夫 東邦大医療センター佐倉病院消化器センター教授(千葉県佐倉市


潰瘍性大腸炎は慢性的に大腸の粘膜がただれて血便や下痢、腹痛を生じ、
多くの患者さんは一度改善してもその後も再発を繰り返す病気です。


大腸粘膜のただれは、
感染症や薬の副作用など様々な原因によっても生じますが、
潰瘍性大腸炎の原因はいまだ不明です。
免疫機能に異常が生じ、
活性化した白血球細胞が大腸粘膜を傷つけるためではないかと考えられています。


治療法は、症状を改善してただれた大腸粘膜を正常な状態に戻す「寛解導入療法」と、
正常になった大腸粘膜を維持して症状の再発を予防する「寛解維持療法」があります。
治療は、薬物投与が中心で、寛解導入療法として、軽症から中等症では抗炎症剤を、
抗炎症剤が効かない中等症から重症例ではステロイド剤を投与します。
ステロイド剤でも改善されない場合は、
過剰な免疫炎症反応を引き起こす物質を抑える
抗TNF―α抗体製剤や強力な免疫抑制剤の投与を試みます。
症状が改善されれば、寛解維持療法として継続して薬剤を投与します。


薬物療法に代わる治療として、
活性化した白血球を取り除く「血球成分除去療法」も中等症から重症例で行われます。
こうした内科治療によって改善されない重症例や、
寛解維持療法を実施しても再発を繰り返す場合は、大腸を摘出する手術が実施されます。


再発予防には規則正しい生活を心がけ、
ストレスをためずに暴飲暴食を避け、バランスの良い食事をとることが重要です。


(2015年1月31日 読売新聞)