チリダニ舌下免疫療法

チリダニ舌下免疫療法の効果を二重盲検ランダム化比較試験で確認
コントロール不良の成人喘息患者対象
https://medical-tribune.co.jp/news/2016/0511503452/

ドイツ・University of RostockのJ. Christian Virchow氏らは,
チリダニアレルギーに関連したコントロール不良の成人喘息患者を対象に
舌下免疫療法を行う二重盲検ランダム化比較試験(RCT)の結果,
舌下免疫療法群ではプラセボ群と比べ,
吸入ステロイド(ICS)減量期間中の喘息増悪までの期間が延長したと
JAMA(2016; 315: 1715-1725)で報告した。

喘息増悪リスクに対する影響を検討

チリダニ(house dust mite)は,
アレルゲンであるハウスダストを構成する成分の1つで,
喘息患者の約半数がチリダニに感作しており,喘息症状の重症化の原因にもなっている。


アレルギー疾患の根本治療法としてエビデンスが確立されているのは,
舌下免疫療法などの減感作療法のみで,
減感作が奏効すれば治療を中止しても長期の便益が期待できる。
チリダニに対する舌下免疫療法により,アレルギー性鼻炎が改善し,
治療薬を減らせることは以前に報告されていたが,
喘息増悪リスクに対する影響は不明であった。


今回の研究では,チリダニアレルギーに関連した喘息を有し,
ICSやICS配合薬で症状がコントロールできず,
アレルギー性鼻炎を合併する成人患者834例
(平均年齢33歳,女性48%)を欧州の109施設で登録。
それまでの喘息治療からICS(ブデソニド)と気管支拡張薬(サルブタモール)に切り替え,
プラセボ群,舌下免疫療法6SQ-HDM群,同12SQ-HDM群にランダム化した。
SQ-HDMとは,今回使用されたチリダニ舌下錠を製造・販売するALK社が
製品の力価を表すために欧州連合域内で用いている単位である。
舌下錠の投与は1日1回,治療期間は登録時期により7〜12カ月であった。


増悪リスクが約30%相対的に減少
834例中693例が試験を完遂した。
実薬群2群ともプラセボ群と比べ中等度〜重度の喘息増悪リスクが有意に低下した。

減感作療法に新たな可能性

ICSでコントロール不良のチリダニアレルギーに関連した成人喘息患者に対して,
舌下免疫療法が喘息増悪リスクの低下に有用であることをRCTで示したのは
今回の研究が初めてで,Virchow氏らは
「長期の有効性と安全性を評価するためにさらなる研究が必要である」と述べている。