イナビルとリレンザは牛乳アレルギーに慎重投与
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/di/trend/201601/545337.html?n_cid=nbpnmo_mled
厚生労働省医薬・生活衛生局は2016年1月7日、
「医薬品・医療機器等安全性情報」(No.329)を発行した。
http://www.pmda.go.jp/files/000209061.pdf
イナビルとリレンザに関しては、
乳製品に対して過敏症の既往歴のある患者に投与した際に
アナフィラキシーが表れた国内症例が集積したことを受け、
厚労省は15年8月、これらの薬剤の「使用上の注意」の改訂を指示。
乳製品に対して過敏症の既往歴のある患者に対しては慎重投与となった。
加えて、「重要な基本的注意」に、
「本剤は、夾雑物として乳蛋白を含む乳糖水和物を使用しており、
乳製品に対して過敏症の既往歴のある患者に投与した際に
アナフィラキシーがあらわれたとの報告があるので、
投与に際しては十分に注意すること」という旨が追記された。
安全性情報No.329には、改訂の根拠となった2症例の概要が紹介されている。
それによると、イナビル投与後にアナフィラキシーと
気管支痙攣を起こした10歳未満の女児は、牛乳や卵など
複数の食物に対する食物アレルギー、気管支喘息、アトピー性皮膚炎を合併していた。
インフルエンザB型と診断された後、保険薬局でイナビルを吸入したところ咳と喘鳴が出現。
目の痒み、咳込み、呼吸困難を訴えて再受診した。
吸入18分後には鼻翼呼吸、陥没呼吸、喘息著明、SpO2 88%。
眼球充血、眼瞼腫脹、顔の発赤がややあり、
意識は清明だったが母親に支えられぐったりした状態だった。
酸素5L、クロモグリク酸ナトリウム、サルブタモール硫酸塩を吸入。
吸入25分後にアドレナリン0.2mLを筋注したところ、
速やかに喘鳴が軽快し呼吸困難も消失した。
もう1つの症例は、卵・牛乳アレルギー、喘息、注意欠陥多動性障害、
アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎を有し、
牛乳によるアナフィラキシーショックの既往歴がある10歳未満の男児。
リレンザ10mg1日2回の投与開始翌日に下痢を発現したため、
同薬の投与を中止し、その翌日に近医を受診した。
呼吸苦や顔面紅潮、咳嗽、悪心・嘔吐などを認め、
アナフィラキシーの疑いでアドレナリン0.2mg筋注、
ヒドロコルチゾンコハク酸エステルナトリウム100mgなど投与後、救急搬送された。
その後、入院加療により軽快している。