麻杏甘石湯

印象に残る症例
たかはし内科 副院長 高橋 浩子 先生
http://www.tsumura.co.jp/password/magazine/184/insho.htm


◆呼吸器科の漢方治療の考え方



漢方では、冷えて、くしゃみ、水様性鼻汁、薄い痰が出るときは「寒」
痰が粘く、黄色や緑色の膿状で、気道に熱をもって
ヒーンヒーンというような咳が出るときは「熱」
痰が切れにくく出ない、あるいは喉が乾燥して
いがらっぽく、咳き込み出すとなかなか止まらないときは「燥」
白い痰が大量に出るときは「湿」と考えます。


呼吸器の漢方治療は
この「寒・熱・燥・湿」をふまえて投与する方剤を考えていきます。
「寒」には小青竜
「熱」には麻杏甘石湯
「湿」には二陳湯
「燥」には麦門冬湯が適応になります。


◆麻杏甘石湯



麻杏甘石湯は、気道や肺に炎症をもつ肺熱の咳嗽
呼吸困難に対する基本処方で、出典は『傷寒論』です。
ペニシリンのない時代、大葉性肺炎によく効いたそうです。


構成生薬は
マオウ(麻黄)
キョウニン(杏仁)
セッコウ(石膏)
カンゾウ(甘草)の4 味で
マオウ(麻黄)・キョウニン(杏仁)で肺気の宣降を整えることで平喘止咳し
セッコウ(石膏)に清熱作用があります。
マオウ(麻黄)・セッコウ(石膏)で利水効果をもち、気道の浮腫を取り除きます。
マオウ(麻黄)とカンゾウ(甘草)は気管支の攣縮をゆるめるので
麻杏甘石湯は気管支喘息の発作時にもよく使います。