アルコールは“毒”

14万人調査で判明、病気にならないための「飲酒ルール」
http://www.nikkei.com/article/DGXMZO91343060U5A900C1000000/


アルコールと疾患リスクの関係について、
国立がん研究センターのがん予防・検診研究センター長津金昌一郎先生にお話をうかがった。


■週300gの純エタノール量からリスクが上がる
「研究結果を見ると、純アルコールに換算して、
日本人にとっての適量は、日に23gということがわかります。
ビールなら大瓶1本(633mL)、
日本酒なら1合(180mL)、
ワインならグラス2杯程度(約240mL)です」(津金先生)


「たとえ少量であっても、毎日アルコールを飲めば、
肝臓はアルコールをアセトアルデヒドに分解する作業を繰り返します。
“毒”であるアルコールを日課のように分解するとなれば、細胞にはやはり大きな負担。
例えば、1週間当たりの純エタノール摂取量が450gを超す男性の場合、
休肝日が『ない人(週5〜7日飲む人)』は、『ある人(週1〜4日飲む人)』に比べ、
1.8倍の死亡リスクになる(出典:Marugame T,et al.Am J Epidemiol 2007;165:1039-46)。


1週間の“飲み計画”を立てて、2日以上の休肝日を設け、
エタノールの摂取量は150gを超えないようにする。
多少のリスクを受け入れるとしたら300gまでを上限とする。
これがコホートからわかった最善策です」(津金先生)


■ビタミンB群の摂取が多い人に疾患リスクが低かった
「野菜と果物を良く摂取する人たちでは、
例えば食道がんのリスクが低くなる結果が報告されています。
飲酒習慣のある人は、これらの食材を積極的に取るように心がけるといいかもしれません」(津金先生)


津金先生によると、飲酒習慣がある人においては、ビタミンB群の中でも
特に「ビタミンB6」をたくさんとっている人たちについては疾患のリスクが低かったという。
ビタミンB6を多く含む代表的な食材は、
レバー、マグロやかつおといった赤身の魚に多く含まれる。


■運動習慣がある人は、意外に酒量は少ない傾向にある
一方、食に並んで、心がけたいのが定期的な運動習慣である。
14万人を調査した結果では、運動習慣のある人は、三大疾病にかかるリスクが低かった。


ちなみに、酒にかかわる生活習慣や嗜好品との組み合わせでは、
「喫煙」が最悪であることは言うまでもなかろう。
コホート研究からも、喫煙の習慣がある人では、
酒量が増えるに従って、疾病リスクも著しく上がっていくことがわかっている
(Inoue M,et al.Br.J.Cancer;2005;92:182-187)。