ビタミンD

冬のビタミンD不足に用心 糖尿病・がんとも関係か
魚・キノコ食べて
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO49335530Y2A201C1MZ4001/




ビタミンDは骨のもとになるカルシウムの吸収を助けるほか
大腸がんや糖尿病などのリスク低減にかかわるともいわれる。
日光の紫外線を浴びることで皮膚で作られ、食べ物からも摂取できる。
冬は夏に比べてあまり日に当たらないため、他の時期よりも少なくなる可能性がある。


「これからの冬場は、それほど長くなくてもいいので外で日に当たり
魚など和食でビタミンDを積極的に摂取するとよい」と
国立国際医療研究センターの溝上哲也・疫学予防研究部長はすすめる。


◆消化器系がんの抑制に効果か
冬は、食事から摂取するビタミンDが多い人は血中のビタミンD濃度も高く
逆に少ないと濃度も低い。しかし、こうした違いは夏にはあまりないという。
これは紫外線を浴びることが減る冬は食事からの摂取が中心になるためと考えられる。
また女性はもともと男性に比べて濃度が低い傾向があり
これも女性は紫外線を避けるためとも考えられる。


溝上部長は以前、九州大学にいたとき
都道府県別の平均年間日射量とがんによる死亡率を調べた。
その結果、日射量が少ない東北や北陸では消化器系がんの死亡率が高く
日射量が多い四国や九州南部では低いという全国的な傾向がみられた。


さらに溝上部長も参加した九大の調査では
カルシウム摂取が多いうえに、ビタミンD摂取が食事からと
日光によるものとが両方多いと、大腸がんのリスクが低かった。
ビタミンDが予防に役立っている可能性がうかがえる。


インスリン抵抗性が高いことなどで起こる2型糖尿病との関係も注目されている。
同研究センターの福岡県の男女約500人を対象にした調査では
血中ビタミンD濃度が不足しているとインスリン抵抗性が高く
濃度が高いと抵抗性が低いとわかった。


厚生労働省研究班の調査では
カルシウム摂取量が多いだけでは糖尿病と統計的に有意な関連はなかったが
食事からのビタミンDも多いとリスクが低減していた。
溝上部長によると、日光によるビタミンDが入っていないので
より詳しくは血中濃度を見た方がよい。
ただ、欧州では濃度が高いと糖尿病リスクが減るという報告もあるという。
カルシウムの働きをビタミンDが助けていると考えられる。


◆筋肉・筋力にも関係
高齢者に多い骨がスカスカになる骨粗しょう症対策に
カルシウムだけでなくビタミンDも重要なことはよく知られているが
筋肉や筋力にもかかわることがわかってきている。
骨粗しょう症になっても骨折しないことが肝心なので
「筋力の維持で転倒しにくくなるためにもビタミンDが大切」
女子栄養大学の上西一弘教授は話す。


日光浴は手首から先が1日に15〜30分、日光に当たる程度で足りる。
高齢になると皮膚でできにくくなるので、若い人より時間は長めが必要だ。
窓ガラスは紫外線をある程度カットするので屋外の散歩などがおすすめだ。


食品からの主要な供給源は魚やキノコ。
干ししいたけは「天日干しで紫外線に当たることで
皮膚と同じようにビタミンDが作られる」(上西教授)。
このため日に当てていない乾燥シイタケには注意が必要だが
その場合は自分で天日干しする方法もある。


「平均的な食生活をしていればビタミンDが足りないことはないが
偏食をしている人は足りない可能性もある」と
国立健康・栄養研究所の梅垣敬三・情報センター長はみる。
例えば外食ばかりしているとか、同じメニューばかり食べている場合だ。