関節リウマチ、早期治療を

関節リウマチ、早期治療を 製剤普及で進行抑制
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO57508640Z10C13A7EL1P01/



関節リウマチは
体に備わっている免疫機能が、外から入ってきた異物ではなく
自身の細胞や組織を攻撃して起こる自己免疫疾患の一つ。
関節にある「滑膜」に炎症が起こり、徐々に軟骨や骨を壊す。
詳しいメカニズムはまだ分かっていない。
患者は推定約70万人。女性患者は男性の3倍以上。
30〜50代の発症が多いが、高齢化によって年配の患者が増えているという。


症状は発熱や倦怠感のほか、
手足の複数の関節で炎症による痛みや腫れ、こわばりなどが出る。
骨や軟骨が侵され、やがて関節の破壊や変形が進む。
ひじのような大きな関節よりも小さな関節で痛む傾向がある。
心臓などほかの臓器にも炎症を起こすため心筋梗塞など合併症のリスクもある。


◆専門医の判断を
確定診断は難しいため専門医の判断を仰ごう。
関節の腫れや痛みを伴う病気はほかにも、膠原病や変形性関節症など数多くある。


治療は投薬が基本で痛みや腫れなどの症状のない「寛解」という状態を目指す。
東京大学の山本一彦教授は
「生物学的製剤の普及で治療目標は大きく変わった」と指摘する。
「専門医ならば約8割の患者で寛解やほとんど症状のない状態にできる」(山本教授)


ただ、投薬を続けても日常生活に支障が残る場合もある。
産業医科大学の田中良哉教授は
「治療を始めたのが高齢で、さらに生物学的製剤を使い始めるまでの期間が長いと
治療効果が弱いという報告がある」と指摘する。


発症から2年以内に骨の破壊が進むので早期の治療開始が重要だ。
骨の破壊はレントゲンの検査などで分かる程度の微小な変化から始まるため、
初期に患者が不自由を感じることはほとんどない。
指が曲がるようになるには10年かかることも多い。


◆痛み我慢は禁物
「痛いのは我慢すればいいと誤解している患者がいる」
東京医科歯科大学の上阪等准教授は指摘する。
腫れているのは関節が壊れているからで、投薬しなければ関節の破壊は進んでしまう。
また痛みのあるときだけ薬を飲めばいいと誤解する患者もいるようだ。
抗リウマチ薬は鎮痛剤とは別で、進行を抑える薬。飲み続けなければ悪化しかねない。


生物学的製剤は治療効果もあるが高価。
薬代は年間100万円以上にもなり、そのうち自己負担が3割としても高額だ。
そのため寛解になった患者が「薬をやめたい」と希望する場合も多い。


薬をやめる可能性を探る動きもある。
産業医科大などの研究では発症してから早期に十分な寛解状態を半年以上維持すると、
半数以上の例で生物学的製剤をやめても病気が1年間進行しなかった。


田中教授は
「薬をいったんやめても、症状が悪くなったら薬を再開すればいい。
専門医とよく相談してほしい」と話す。