フロベン

川崎病患者にNSAIDsが処方された理由
http://medical.nikkeibp.co.jp/inc/mem/pub/di/diquiz/ より一部改変

日経DIクイズ 服薬指導・実践篇 5

日経DIクイズ 服薬指導・実践篇 5


◆Question

川崎病と診断され、入院治療を受けていた4歳男児の母
「入院中はアスピリンを飲んでいたのですが、薬が変わることになりました。
このフロベンという薬は、どのようなお薬なのでしょうか。


フロベン顆粒 50mg
 分3 毎食後 14日分
アンギナール散12.5% 80mg  (ペルサンチン=ジピリダモール)
 分3 毎食後 14日分

◆服薬指導

フロベンは、入院中に飲まれていたアスピリンと同じように、血液を固まりにくくするお薬です。
川崎病ではごくまれに、心臓に近い血管にこぶのようなものができてしまうことがあります。
これができると、血の固まりができやすくなり、その固まりが
心臓の血管に詰まれば心筋梗塞が起きてしまうことになります。
ですから、それを予防する目的でフロベンが処方されているわけです。
また、フロベンはアスピリンに比べて、肝臓に対する副作用が少ないことがわかっています。

◆解説

川崎病は、主として4歳以下の乳幼児に好発する急性熱性疾患である。1967年に川崎富作氏が「急性熱性皮膚粘膜リンパ節症候群」として初めて報告したことから、氏の名前をとって川崎病と呼ばれるようになった。川崎病は、全身性の中小動脈の血管炎という病理組織像を有する。主な症状は
(1) 5日以上続く発熱
(2) 両眼球結膜の充血
(3) 口唇の発赤といちご舌
(4) 頸部リンパ節腫脹
(5) 不定形発疹
(6) 四肢末端の紅斑と硬性浮腫──など。

具体的な治療法としては、炎症の抑制、血栓形成の抑制を目的としたアスピリンの投与が基本となる。投与量は、急性期の発熱時は30〜50mg/kg/日で、急性期を過ぎたら5〜10mg/kg/日に減量する。また、その後、血液検査で血小板増加等が見られず、検査値が正常の範囲にとどまっていれば、投与を中止する。ただ、アスピリンでは肝障害の副作用が起こりやすいため、肝機能低下等の理由でアスピリンが投与できないときは、フルルビプロフェン(フロベン)を使用する。川崎病患者に同剤を用いた場合、アスピリン療法より肝障害の発生が著しく低かったとする報告があるからである。S君の場合も、退院後にアスピリンからフロベンに処方が変更されており、入院中に肝障害の副作用が起きたのではないかと推測される。このほか、抗血栓剤としてジピリダモール、チクロピジン、ワルファリン等が併用されることもある。川崎病に対するアスピリンないしフルルビプロフェンの投与は、冠動脈病変が認められないケースでも、退院後1カ月前後続けられる。また、冠動脈病変がある場合は、さらに長期にわたって薬剤を服用する必要がある。