ジストニアとは

きょうの健康
来週、再放送があるので見てください。

肩こりやドライアイなどと間違われやすい「ジストニア」 代表的な症状・診断・治療法
ジストニア 肩がこる 肩が痛い 目がおかしい 脳・神経
https://www.nhk.or.jp/kenko/atc_1141.html

ジストニアとは

ジストニアは、英語で「異常な」という意味の「ジス」と、
「緊張」という意味の「トニア」が組み合わさっている病名です。
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ジストニアとの意味と語源

つまりごく簡単に言えば筋肉が異常に緊張しているということです。

ジストニアの症状

患者数の多い代表的な症状は下の3つです。
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ジストニアの代表的な3つの症状

•眼瞼(がんけん)けいれん
まぶたの筋肉が緊張して起こるジストニアです。
最初はまぶしさを感じるだけですが、
進行すると目をあけられなくなってしまいます。

•痙性斜頸(けいせいしゃけい)
首の周りの筋肉が緊張して起こるジストニアです。
首がねじれたり、傾いたりしてしまって、
まっすぐ保つことが難しくなります。
また、痛みを伴うこともあります。

•書痙(しょけい)
手や腕の筋肉が緊張して起こるジストニアです。
ペンを握って文字を書こうとすると、
ギュッと手に力が入ってしまって、
書くという動作ができなくなってしまいます。

ほとんどの場合はどれか1つの症状が出ますが、
まれに複数が同時に出ることもあります。
これらは違う病気に見えますが、どれも同じ「ジストニア」です。
ジストニアは脳神経回路の異常で起こる運動障害や姿勢異常の総称です。
かつては心の問題だと考えられていましたが、
研究が進み、脳に原因があると分かってきました。

眼瞼けいれんは、
光をまぶしく感じたりすることからドライアイと診断されてしまうことがあります。
痙性斜頸は肩こりと間違われやすいです。
姿勢は普通でも首を動かしづらいとか
痛いなどは軽度のジストニアの場合もあります。

さらに、職業に関係したジストニアも多く見られます。
ゴルファーでパターが打てなくなるような
イップス」の一部はジストニアだと言われています。
楽器の演奏などを専門に学ぶ音楽大生の1%以上が
ジストニアだという調査結果もあります。
精神的な問題と見えてしまい、患者を苦しめるケースもあるのです。

ジストニアは「おまかせモードの運動」に起こる
ジストニアの運動障害はどのような場合で起こるのでしょうか。

「眼瞼けいれん」はまぶたの緊張で起きますが、
普通はまぶたを開けよう閉じようと意識しません。
「痙性斜頸」のケースも、姿勢をまっすぐ保とうと普段は意識しません。
「書痙」でも、「何の文字を書くのか」は意識しても、
どの指をどの程度曲げて…というように、
どのように手を動かしているかは、実は意識せずに行っています。
ジストニアはこのような、意識せずにできる「おまかせモードの運動」に起こります。

ジストニアで筋肉が異常に緊張するのは脳の神経が関係
脳には「大脳基底核」という場所があり、運動の調節や学習などを行っています。
特に、意識せずにできる「おまかせモードの運動」で大きな役割を持っています。
実際に運動を行う場合、小脳や大脳皮質から筋肉へ指令が出ていますが、
大脳基底核はこの間に入り、運動の調整を行っています。
自動車で例えると、安全に前に進むために、
「アクセル」と「ブレーキ」がバランスよく働き運動を調整しているイメージです。

このとき、ドパミンという物質が大脳基底核の中で指令を伝えています。
ドパミンはアクセルを踏み込みブレーキを緩める働きをしています。
ジストニアでは、正常な状態に比べて過剰に出ていることでアクセルが強くなり
ブレーキが弱まってしまい、筋肉への指令が過剰に出て、
ジストニアの症状が起こるのです。
簡単に言えば、スピード違反のようなものです。

異常が起きる原因は?

ジストニアでアクセルが強く踏み込まれてしまう原因は、
ジストニア患者の9割以上でわかっていません。
傾向としては「素因」「反復」「ストレス」がジストニアの引き金になっています。
「素因」は本人の素質のことです。
ひとつのことをこだわってきちんとやり過ぎてしまう人が多いです。
「反復」は同じ動作を何度も繰り返して行うことです。
楽器の練習や勉強などが引き金になることがあります。
「ストレス」は職場での対人関係や、
「成功しなくては」というプレッシャーなども引き金の一つです。
ですが、このことがなぜ脳の異常につながるかは、まだはっきりとはわかっていません。

ジストニアの診断

1か月以上続くしつこい肩こりがあると、軽度のジストニアの可能性があります。
特に、頭が一方向に回しにくいなどの左右差があると可能性は高いです。
ドライアイのような症状があって、
異常なまぶしさを感じる場合は眼瞼けいれんが疑われます。
長い文章を書くと手が疲れるとか、
文字が書けないけどお箸は問題なく使えるなどがあると、
初期の書痙の可能性があります。

ジストニアの主な治療法

ジストニアの治療方法は主に3つあります。

  • ボツリヌス療法

ボツリヌス毒素を人体に害が出ないよう薄めたものを、
症状が出ている筋肉に注射します。
1回打つと3~4か月効果が続きますが、効果が切れたらまた注射します。
繰り返し行うことで、頭の中の回路が正常化して、
5年くらいで症状が出なくなることが多いです。
日本では眼瞼けいれんと痙性斜頸に対して保険適用されています。

  • 内服療法

「抗コリン薬」や「レボドパ」などの薬を服用します。

日常生活での注意点

なるべくストレス・症状が悪化するような状況を避けて、
体と心になるべく負担がかからないようにするのがのぞましいです。
ジストニアの症状が出るような同じ動作や姿勢を続けないことも大切です。
また、禁煙も重要です。
禁煙で書痙が治ったというケースもあります。
ニコチンはドパミンの過剰放出を促してしまうため、
脳内のアクセルをより強めてしまうことになり、ジストニアを悪化させます。