ニコチン代替療法+バレニクリン併用の有効性を確認
バレニクリン単独と比較,南アフリカ・多施設共同RCT
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/mtpronews/1407/1407037.html
南アフリカ・Stellenbosch UniversityのCoenraad F. N. Koegelenberg氏らは,
ニコチン依存症治療薬バレニクリンとニコチン代替療法(NRT)の併用効果を
バレニクリン単独と比較する二重盲検ランダム化比較試験(RCT)を実施。
バレニクリン単独と比べ,併用では12週後(治療終了時)および
6カ月後の禁煙達成率が上昇したとする結果をJAMA(2014; 312: 155-161)で報告した。
◆大規模かつ長期の二重盲検試験で検討
喫煙は,呼吸器疾患や心血管疾患,がんの罹患と
これらの疾患による死亡の危険因子のうち,
予防可能な因子として最大のものであり,
禁煙を望む喫煙者を支援することは,全ての医療従事者にとっての優先課題といえる。
これまでにもバレニクリン+ニコチン代替療法併用の
安全性と忍容性が示されたとする報告はあったが,
バレニクリン単独を上回るアウトカム改善は示されていなかった。
そこで今回の研究では,より大規模かつ長期の二重盲検試験において,
バレニクリン+ニコチン代替療法併用の有効性を検討。
主要評価項目はバレニクリンによる治療開始後9〜12週目の4週間持続禁煙率,
副次評価項目は6カ月時点の禁煙率(point prevalence abstinence rate)と
9〜24週の持続禁煙率,有害事象の発生率とした。
対象は,2011年4月〜12年10月に
南アフリカの7施設で登録した健康な喫煙者446例(年齢18〜75歳)。
これらの喫煙者を禁煙開始予定日(target quit date ; TQD)の2週間前に
NRT(1日16時間貼付)群とプラセボパッチ群にランダムに割り付け,
TQDから12週目まで(通算14週間)NRTまたはプラセボパッチを投与した。
また,全ての喫煙者でTQDの1週間前からバレニクリンによる治療を開始。
0.5mg×1回/日を3日間,0.5mg×2回/日を4日間投与した後,
1mg×2回/日の維持用量を12週目まで継続し,13週目に漸減して中止した。
4週間持続禁煙に成功しているか否かは呼気中一酸化炭素濃度の測定により確認した。
◆6カ月時点の禁煙率は2倍に
435例を対象に有効性と安全性について解析したところ,
バレニクリン+ニコチン代替療法併用群では
バレニクリン単独群と比べて12週目と24週目のいずれの時点でも持続禁煙率が高かった。
6カ月時点の禁煙率もバレニクリン単独群の46.7%に対して
バレニクリン+NRT併用群では65.1%と高かった。
なお,バレニクリン+NRT併用群ではバレニクリン単独群と比べて
悪心や睡眠障害,皮膚反応,便秘,うつ症状の報告が多かったが,
両群間に有意差が認められたのは皮膚反応のみであった。
◆併用による相加効果の説明は難しい
Koegelenberg氏らは「バレニクリンとNRTは,
いずれもα4β2ニコチン受容体を標的とした治療法であるため,
両者の併用による相加効果を説明するのは難しい」とした上で,
考えられる機序として
① NRTもバレニクリンも単独では脳内のニコチン受容体を
完全に飽和させるには不十分であるため,もう一方が作用する余地がある
② NRTのニコチンはニコチン依存性に関与する別の(もしくは追加の)受容体に結合する
③ 薬物動態の相違(NRTの作用が緩徐であることなど)のため,
より好ましい受容体作動性が得られる
④ 2つの治療法を段階的に導入したことで併用効果が高まる
−などの可能性を挙げている。