過敏性腸症候群

ここが聞きたい 名医にQ
しつこい下痢・便秘 過敏性腸症候群かも?
2012年06月30日(土)放送
http://www.nhk.or.jp/kenko/drq/archives/2012/06/0630.html




  • 下痢や便秘を繰り返す

下痢や便秘を起こすような腹痛または腹部の不快感が月に3日以上あり
それが3か月以上続く場合、過敏性腸症候群が疑われます。
腫瘍や潰瘍などがみつかれば他の病気が疑われ
大腸がん、潰瘍性大腸炎クローン病など重い病気のこともあります。

  • 成人の10〜20%

日本では成人の10〜20%が過敏性腸症候群に当てはまると言われています。
下痢が多い人、便秘が多い人、両方とも多い人などさまざまです。

  • ストレスで大腸に異変

過敏性腸症候群は、ストレスが最大の原因だと考えられています。
ストレスがかかると大腸の運動が異常になり下痢や便秘が起こるのです。
また過敏性腸症候群の人は大腸が知覚過敏になっていることもわかってきました。

薬による治療

  • 高分子重合体

錠剤または粉薬ですが、紙おむつと同じような物質でできているため
腸内で水を含んで どろっとしたゲル状になります。
軟らかい便から水分を吸収するため、下痢に効果があります。
また、硬い便と混じって便の通りを良くするため便秘にも効果があります。

  • 消化管運動調節薬

過敏性腸症候群では大腸の運動が異常になっています。
消化管運動調節薬は、腸に働きかけて激しい運動を抑えたり
乱れた運動をスムーズにしたりするもので、いろいろな種類があります。
下痢・便秘・腹痛それぞれに応じた薬や、どの症状にも効く薬もあります。

セロトニンはストレスを感じたときに腸管から分泌され
大腸の運動異常や知覚過敏を引き起こす物質です。
セロトニンは腸管の神経にある受容体に結合することで働きますが
この薬はセロトニンに代わって受容体に結合することで
セロトニンを働かせないようにします。

漢方による治療

慶應義塾大学准教授 渡辺賢治先生


  • 桂枝加芍薬湯(けいしかしゃくやくとう)

▼虚証または中間証(虚証と実証の中間)の場合。下痢または便秘に。
▼生薬:桂皮(けいひ)・芍薬(しゃくやく)・甘草(かんぞう)・生姜(しょうきょう)・大棗(たいそう)

▼虚証で特に体力がない場合。子どもにもよい。下痢または便秘に。
▼生薬:桂皮(けいひ)・芍薬(しゃくやく)・甘草(かんぞう)・生姜(しょうきょう)・大棗(たいそう)・膠飴(こうい)

▼実証の場合。下痢または便秘に。
▼生薬:半夏(はんげ)・人参(にんじん)・黄芩(おうごん)・黄連(おうれん)・甘草(かんぞう)・乾姜(かんきょう)・大棗(たいそう)

  • 桂枝加芍薬大黄湯(けいしかしゃくやくだいおうとう)

▼虚証にも実証にも。便秘に。
▼生薬:桂皮(けいひ)・芍薬(しゃくやく)・甘草(かんぞう)・生姜(しょうきょう)・大棗(たいそう)・大黄(だいおう)