武田薬品、日本勢初のワクチン世界販売 まずデング熱
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC016II0R00C22A8000000/
武田薬品工業は国内企業で初めてワクチンの世界販売を始める。
まずデング熱のワクチンをアジアや南米など30カ国で売り、
年16億ドル(約2100億円)の売上高を目指す。
武田のワクチンは臨床試験を終え、
近くインドネシアで承認される見通しだ。
アジアや南米のほか、欧州でも承認の申請をしている。
ドイツに1億3000万ユーロ(約180億円)をかけて専用工場を設けた。
委託生産も含めて年5000万回分(2500万人分)の生産ができる。
デング熱のワクチンは仏サノフィの製品があるが、
副作用の問題が指摘され、
9歳以上にしか使用できないなど制限があった。
武田のワクチンは4歳以上の子どもにも使用でき、大きな副作用も起きていない。
治験の結果では2回の接種によりデング熱の発症を61%抑え、
重症化による入院を84%防ぐ効果が確認されている。
武田は他の感染症向けの新たなワクチンも開発中だ。
同じく蚊が媒介する「ジカ熱」向けの治験も進めており、
デング熱向けを皮切りに新たなワクチンの開発を急いで、
がん治療薬など医療用医薬品に次ぐ収益の柱に育てる。
デング熱は世界で年約2万人が死亡しているとされる。
入院が必要なデング出血熱の致死率は2~5%とされる。
主な感染地域はアジアで、アフリカや南米など熱帯地方での感染が多い。
温暖化に伴って感染エリアは今後さらに広がると予想されている。
日本でも感染者が出ており2014年には160人の感染が報告された。
16年には海外からの帰国者がデング熱で死亡している。
デング熱は蚊に刺されてから4~10日間の潜伏期間を経て発症する。
大半は無症状だが、高熱や頭痛などの症状が出るほか、
重症化した場合は出血や呼吸困難となり死に至る場合もある。
有効な治療薬はなく、症状が出た場合は
解熱剤の使用や集中治療といった対症療法が中心となる。