ビタミン

免疫高めるビタミン B1などの関わり、仕組み判明
http://style.nikkei.com/article/DGXKZO10422590Y6A201C1NZBP01?channel=DF130120166090



ビタミンと免疫の関係は、腸が持つ免疫機能の研究から浮かび上がった。
医薬基盤・健康・栄養研究所の国沢純プロジェクトリーダーは
「ビタミンA、B1、B6、葉酸で詳しい仕組みが分かってきた」と話す。


代表的な例がビタミンB1だ。
不足するとかっけなど神経障害を伴う疾患を起こすことが知られていたが、
最近の研究から、腸の「パイエル板」という組織にある
免疫細胞の維持にも深く関わっていることがわかった。
ビタミンB1が減るとパイエル板は小さくなり、
生体の防御機能が弱くなる。そのため感染症にかかりやすくなる恐れがある。


現在、口から「飲むワクチン」の開発が進んでおり、今後増えると見られるが、
ビタミンB1不足の人は、ワクチンを飲んでも免疫が十分に働かない。
国沢プロジェクトリーダーは「栄養事情も考慮しないといけない」と解説する。


また葉酸が、
免疫を抑える働きをもつ「制御性T細胞」の増殖を左右していることがわかった。
葉酸が不足するとこの細胞はなくなっていき、やがて腸の粘膜が炎症を起こす。
体の免疫機構が自らを攻撃する自己免疫疾患の症状だ。
葉酸はかねてたんぱく質や赤血球の合成に重要とされていたが、
新しい機能が見つかった。


厚生労働省は5年ごとに「日本人の食事摂取基準」を改訂し
摂取不足が起きないよう注意を払ってきた。
その作業班に加わってきた滋賀県立大学の柴田克己教授は
「健康な人はおおむねビタミンを十分に取っている」と話す。


▼ビタミン 
生命の維持に必要な微量な化合物で、現在までに13種類が判明している。
人の体内では作られないため、食物から摂取しなければならない。
糖、たんぱく質、脂質、ミネラルに続く「第5の栄養素」としばしば呼ばれる。


東京大学鈴木梅太郎教授が1910年に米ぬかに含まれる未知の栄養素
オリザニン」を発見したのが最初のビタミン(B1)といわれる。
国内での発表だったため海外では知られなかった。
ほぼ同時期に研究していた英国とオランダの研究者が、
ビタミンの発見で1929年のノーベル賞を受賞した。