ダビガトラン

“ワルファリンと同等に危険な薬”の認識で処方を
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/mtpronews/1109/1109057.html

“毒にも薬にもなる薬”という認識を医師も患者も持つべき

ダビガトランが発売されたのは今年3月だが
全国の推定処方患者数は既に6万4,000人に達している。

“夢のような薬”,あるいは降圧薬のような誰もが比較的容易に使いこなせる薬と過信
あるいは誤解して,安易に処方した可能性はあるだろう。

しかし,忘れてはいけないのは,ワルファリンもダビガトランも
止血という生理反応に逆らうわけで,文字通り“毒にも薬にもなる薬”だということだ。

実地臨床においては
“ダビガトランもワルファリンも同等に危険な薬”との認識を持って処方してほしい。

高齢,腎機能低下,抗血小板薬使用の2項目以上合致する場合は慎重な対処を

死亡5例は全例70歳以上で,うち3例が80歳代,1例が100歳代という年齢構成だ。
腎機能も相当低下しており,驚くことに「不明」という例もある。

今回の重篤副作用続発の背景には
ワルファリンからダビガトランへの切り替えの際、両薬剤の血中半減期の違いが
十分に理解されていなかったことも原因の1つではないかと推測している。

ワルファリンが血中半減期48時間で1日1回投与なのに対し
ダビガトランは血中半減期12時間で1日2回投与
切り替え時に両薬剤の血中濃度が過剰になる時間帯が出現するはずだ。
そのことに細心の注意を払うべきだろう。
わたしはワルファリンで特に問題なく
良好に管理されている患者をあえてダビガトランに切り替える必要はないと考えている。
新規処方をする際には,ダビガトランは確かに魅力的だが,適正使用を徹底してもらいたい。
腎機能低下例には今後もワルファリンの選択もありうる。
出血リスクを恐れて,抗凝固療法を行わないのは逆に問題だ。
心房細動患者を心原性脳塞栓症のリスクにさらすことになる。


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