腰痛・膝関節痛

腰痛・膝関節痛
http://www.kampo-s.jp/web_magazine/back_number/295/gm-295.htm
小川恵子先生 金沢大学附属病院漢方医学



腰痛
高齢者の腰痛の原因としては、変形性脊椎症が最も多い。
加齢とともに骨粗鬆症が進行するため、
脊椎の圧迫骨折や脊柱の変性変化による腰部脊柱管狭窄症なども頻度が高い。
ファーストチョイスは牛車腎気丸である。
甘草(かんぞう)を含まないため、偽アルドステロン症の危険性はない。
稀ではあるが、地黄(じおう)による胃腸障害の可能性があるため、
注意して投与することが必要である。
胃腸障害がある場合には、食後投与にする。


膝関節痛
高齢者の膝関節痛は、やはり膝関節の骨の変形によって起こる。
また、大腿四頭筋などの筋力低下も原因となる。
膝関節に炎症が起きると関節包に水がたまり、水滞ととらえることができる。
その場合のファーストチョイスは防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)である。
また、発赤、激しい痛みがある場合には、
越婢加朮湯(えっぴかじゅつとう)を併用するとよい。
麻黄(まおう)に対して副作用が出る可能性が高い高齢者、
もしくは出たことのある高齢者は、桂枝加苓朮附湯を併用する。
皮膚の枯燥を伴う場合で、関節の変形が目立つ場合には
桂芍知母湯(けいしゃくちもとう)も適応となる。
筋肉の痛みを伴う場合には、薏苡仁湯(よくいにんとう)がファーストチョイスとなる。
於血が目立つ場合は、疎経活血湯(そけいかっけつとう)が次の一手になる。