「あたらないカキ」海洋深層水で陸上養殖へ 久米島で来月プラント着工
http://www.nikkei.com/article/DGXLZO09839780S6A121C1LX0000/?dg=1
オイスターバーを展開するゼネラル・オイスター子会社のジーオー・ファームは、
世界初となるカキの完全陸上養殖を目指し、来月、プラント工事に着手する。
細菌などのほぼいない久米島の海洋深層水を使い、
2017年度中に「あたらないカキ」の生産を目指す。
沖縄から近いアジア諸国の富裕層向けにも輸出する考えだ。
ジーオー・ファームは15年12月に設立した。
取水量が全国トップの久米島の海洋深層水に着目。
人体に有害なウイルスや細菌を含まない「あたらないカキ」を出荷するため
カキのエサや稚貝から成貝への成長過程を研究してきた。
プラント工事は2期に分けて実施する。
来月着手する1期工事ではカキの卵を受精させ、
3センチメートル程度の幼貝まで成長させる施設を建設する。
17年夏ごろの稼働を目指す。
17年度中に幼貝から成貝に成長させるプラントを建設する2期工事に着手。
施設面積は合計で約1300平方メートルになる。
18年度中の市場流通を目指して養殖カキの量産体制に入る予定だ。
カキは1時間に約20リットルもの海水を吸い込み
エサとなるプランクトンを取り込んで水を吐き出している。
この過程で菌やウイルスが蓄積されると、食あたりなどを起こす原因となる。
大量の海水が必要となるため、幼貝から成貝にする過程の陸上養殖は難しかった。
久米島は海洋深層水の取水量が1日あたり約1万3千トンで全国一。
海洋深層水は菌やウイルスがほとんどなく、大量に供給できる上に栄養分に富む。
亜熱帯気候で日照条件もよく、
カキに与える植物プランクトンの光合成にも適しているという。
カキの生育には数年が必要だが、
ジーオー・ファームは出荷期間を大幅に短縮し、最短約半年での出荷を目指す。
海外では香港などで富裕層を中心にカキの人気が高いという。
「ウイルスフリーで付加価値が高く、安定して供給できる」(鷲足社長)ため、
将来は全日本空輸が運営する国際物流基地「沖縄貨物ハブ」を活用し、
東南アジアへ輸出を目指す。
食あたりのリスクを避けてカキを扱わなかった高級レストランや
ホテルへの販路拡大を狙う。