米国でアセトアミノフェンの皮膚障害に関する警告表示を強化へ
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/mtpronews/1308/1308007.html
アセトアミノフェンにより,
まれにスティーブンス・ジョンソン症候群(SJS),や
中毒性表皮壊死症(TEN)の他,急性汎発性発疹性膿疱症(AGEP)といった
重篤な皮膚障害が起こることが知られている。
米食品医薬品局(FDA)は8月1日,
アセトアミノフェンに関する国民および医療関係者向けの安全性情報を発出。
販売企業に対し,処方せん薬および一般用医薬品(OTC)において,
これらの皮膚障害に関する警告表示を強化するよう求めることなどを明らかにした。
◆2年前の肝障害リスクに続き,皮膚障害の警告を強化
FDAはアセトアミノフェンの副作用対策の強化に乗り出しており,
2年前には肝障害リスクを減少させるため,
アセトアミノフェンの米国における使用量の上限を
1錠(または1カプセル)当たり325mgに制限。
同リスクに関する警告表示の強化を企業に指示していた。
今回の安全性情報発出に当たり,FDAは
有害事象報告システム(FAERS)および文献の調査を実施。
同薬使用後にSJSやTEN,AGEPで入院を要した小児および高齢者に対し,
アセトアミノフェン単剤の再曝露試験を行った結果,
同薬が原因と確認された3件の症例報告や
1969〜2012年にFAERSに寄せられた同薬との関連が疑われる,
3つの症状に関する報告が107件あったことを明らかにしている。
FAERSへの報告の大部分は,アセトアミノフェン単独使用例で
67例が入院,12例が死亡していた。
剤型別の検討では同成分単独の経口剤が最も多く,
注射用剤,オピオイドとの配合剤などの報告は少なく,
ほとんどは推奨用量通りに使用されていた。
FDAは今回の調査は症例報告であり,バイアスがあるとしながらも,
同薬使用によりSJS/TENまたはAGEPのリスクが増加すると考えられると結論。
今後,同薬を販売する企業に処方せん薬,OTCを問わず,
これらの副作用を黒枠警告で表示するなどの対応を求めていく意向を示した。
その上で,消費者に対しアセトアミノフェンだけでなく,
イブプロフェンやナプロキセンといったNSAIDにも同様の副作用があると注意を喚起。
現時点でこれらのリスクを予測できる方法はなく,
過去の使用歴で問題がない場合も含め,イベントはいつでも起こりうること,
また,同薬による皮膚障害の既往がある場合は,
同成分を含む薬剤を再度使用せずに医師に相談するよう勧告している。
◆日本でもアセトアミノフェン,解熱鎮痛・感冒薬が原因薬の上位
厚生労働省によると日本国内の副作用報告において,
アセトアミノフェンは医薬品全体におけるSJS/TENの報告件数の第4位,
薬効分類別では医薬品 ,OTCともに
解熱鎮痛消炎薬と総合感冒薬が上位を占めている。