GPR40作動薬

血糖依存性のインスリン分泌促進薬
新機序糖尿病薬「GPR40作動薬」って何?
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/report/201307/531799.html



「GPR40作動薬」という新しい作用機序の治療薬の開発が進んでいる。
SU薬やDPP4阻害薬のように、
インスリン分泌を促進させる作用を持つ経口血糖降下薬だ。
膵β細胞上のGPR40という受容体を直接刺激することで、薬効を発揮する。


GPR40作動薬としては現在、
武田薬品工業がTAK-875の日米同時開発を進めている。
日本では、早ければ年内にもTAK-875の第3相臨床試験が終了する見込みだ。


グルコースによるインスリン分泌惹起作用を増幅
GPR40は、近年、その機能やリガンドが明らかになってきた
G蛋白共役型受容体(G protein-coupled receptor)の一つ。


G蛋白共役型受容体は、これまでのヒトゲノム解析で、
850種類以上存在することが解明されているが、
このうちGPR40は、刺激すると血糖依存性に
インスリン分泌を促進する機能を持つことが分かっている


GPR40は主に膵β細胞に発現し、天然のリガンドは中長鎖脂肪酸だ。
このGPR40をターゲットとして開発されたのが、GPR40作動薬である。


GPR40作動薬がGPR40を活性化すると、
イノシトール1,4,5-三リン酸の産生、
細胞内カルシウム濃度の上昇を介して、
インスリン分泌が増大するのではないかと考えられている。


PIP2:ホスファチジルイノシトール4,5-二リン酸、
GLUTグルコーストランスポーター
DAG:ジアシルグリセロール
PKA:プロテインキナーゼA
PKC:プロテインキナーゼC 


GPR40作動薬が膵β細胞のGPR40を刺激した後、
どのような機序でインスリン分泌を促進するかについては、
現在研究が進んでいるが、これまでの報告によると、
GPR40の刺激によってイノシトール1,4,5-三リン酸(IP3)が産生され、
このIP3が小胞体のCaを放出させ、細胞内Ca濃度を上昇させることで、
インスリン分泌を促進するのではないかと考えられている(図1)。


川崎医科大学総合内科学特任教授の加来浩平氏は、
「GPR40作動薬は、グルコースによるインスリン分泌惹起経路を増幅させる。
そうした作用の概念は、DPP4阻害薬と変わらない」と説明する。


ちなみに、GPR40作動薬だけでなくDPP4阻害薬も、
どのようにグルコースによるインスリン分泌惹起経路を
増幅させるのかの詳細は、まだ解明されていない。
また、DPP4阻害薬はインスリン分泌促進作用の他にグルカゴン抑制作用を持つが、
GPR40作動薬にはグルカゴン抑制作用はないと考えられている。