低用量アスピリンとOTC鎮痛剤との相互作用
http://medical.nikkeibp.co.jp/inc/mem/pub/di/diquiz/ より一部改変
- 作者: 日経ドラッグインフォメーション
- 出版社/メーカー: 日経BP社
- 発売日: 2005/10/06
- メディア: 単行本
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◆Question
脳梗塞から回復した、57歳の男性
今日、先生からバファリンを出されたんですが
普段から頭痛持ちで、市販のナロンエースが手放せません。
頭痛が出たら、これまで通りナロンエースを飲んでも大丈夫でしょうか。
処方せん
バファリン81mg錠 1錠
分1 朝食後 30日分
◆服薬指導
ナロンエースはバファリンと一緒に飲むと
血の固まりを防ぐ作用を弱めてしまうことがわかっています。
ただし、バファリンを朝飲まれてから、2時間あけて
ナロンエースを1日1回飲む程度でしたら、影響はありません。
もし、バファリンを飲む前後に頭痛が出てしまった場合や
1日1回では我慢できないという場合は、ナロンエースは避けて
別のお薬を飲まれた方がいいでしょう。
アセトアミノフェンであればバファリンの作用を邪魔しません。
◆解説
アスピリンの抗血小板作用が、ナロンエースなどに含まれるイブプロフェンの併用により阻害され、心血管イベントによる死亡率が有意に増加することが報告されている。イブプロフェンは分子量が小さいため、血小板のCOX-1活性部位のある狭いチャネル内に入り込み、アスピリンの結合を阻害する。実際、アスピリン服用の2時間前にイブプロフェンを単回服用した場合や、アスピリン服用2時間後でも1日3回イブプロフェンを服用した場合は、抗血小板作用が阻害されると報告されている。
ただし、イブプロフェンと血小板COX-1の結合は可逆的であること、服用後10時間でほぼ血中から消失することから、バファリンの服用後2時間から数時間の間にナロンエースを単回服用する程度であれば、連日服用しても抗血小板作用には影響しないと思われる。頻回の頭痛で、どうしても1日複数回服用したい場合は、代替薬として、アスピリンの抗血小板作用に影響しないアセトアミノフェンなどを主成分とするOTCを勧める必要がある。アスピリンを含有するOTCの併用は、抗血小板作用が減弱してしまう可能性があるため、勧めるべきではない。
〔参考文献〕
Lancet. 2003;361:573-574.
N Engl J Med 2001;345:1809-1817.