バイアスピリン

バファリンからバイアスピリンへの処方変更
http://medical.nikkeibp.co.jp/inc/mem/pub/di/diquiz/ より一部改変

日経DIクイズ 服薬指導・実践篇 5

日経DIクイズ 服薬指導・実践篇 5


◆Question

54歳男
最近、胃の調子がおかしいので先生に相談したら
「薬を変えてみましょう」と言われました。
ですが、処方せんを見てみたらバイアスピリンと書いてありました。
確か、これまで飲んでいたバファリンも、成分はアスピリンだと
こちらで伺ったと思うのですが。しかも、これまでの薬は81mgだったのに
今回のには100mgと書いてあって、量も増えているようです。どういうことなのでしょうか。


処方せん
バイアスピリン錠100mg 1錠
 分1 朝食後服用 14日分

◆服薬指導

バイアスピリンは、胃では溶けずに腸で溶けますので、胃への刺激が少なくなっています。
アスピリンの量は81mgと100mgという差がありますが
バイアスピリン100mgの錠剤は、腸からゆっくり吸収されていきますので
量が多くても副作用が特に多くなるというわけではありません。

◆解説

2002年1月、英国に本部を置くATT(Antithrombotic Trialists' Collaboration)が発表した研究報告では、抗血小板剤としてのアスピリンの有用性が確認され、アスピリンを抗血小板剤として使用する場合は1日75〜150mgが最も有効であることが報告された。

アスピリンによる胃腸障害には(1)胃粘膜に対する直接刺激。(2)血中に移行したアスピリンが胃や十二指腸の粘膜においてシクロオキシゲナーゼを阻害し、胃粘膜保護作用があるプロスタグランジンの合成を低下させる――という二つの機序が関与していると考えられている。

このうち、胃粘膜への直接傷害を軽減するために緩衝錠もしくは腸溶錠が使用される。抗血小板剤としての適応を持つ7品目のアスピリン製剤のうち、バファリン81mg錠をはじめとする6品目は、制酸剤のダイアルミネートを配合した緩衝錠であり、バイアスピリン錠は耐酸性のコーティングが施された腸溶錠である。

なお、バファリン81mg錠とバイアスピリン錠100mgは、1錠当たりのアスピリン含有量が異なるが、どちらの用量も抗血小板剤として有効とされる範囲内である。また、最高血中濃度到達時間(Tmax)や血中濃度時間曲線下面積(AUC)を比較すると、バファリンの方が吸収が早く(Tmax:0.39時間 vs 4.0時間)、AUCも高い。つまり、この2剤のアスピリン含有量の差が、血中移行後にもたらされる胃粘膜の傷害の程度に反映される可能性は低い。