ゲノム編集は自然界で起こりうる変異だが
遺伝子組み換えは自然では絶対に起こりえないこと。
ゲノム編集食品、夏にも解禁 厚労省
栄養多いトマト・肉付き良いマダイ 「届け出」で販売可能
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO42626760Y9A310C1EA2000/
ゲノム編集は遺伝子を改変する新しい技術。
従来の遺伝子組み換え技術は、
微生物などの別の生物の遺伝子を入れることで、
農薬や害虫に強い品種を作る。
耐病性など限られた機能しか持たせられず、
他の生物の遺伝子が入るため安全性に対する不安が根強い。一方、ゲノム編集を使った品種改良は
主に遺伝子を切断して働きを止める方法によって
作物自体の遺伝子を改変するので安全性が高いとされる。
遺伝子によって味や栄養を自在に変えることもでき、
消費者にメリットの大きい品種が短期間で簡単に開発できる。厚労省は遺伝子を切断して働きを止める方法は、
自然に起こる突然変異や従来の品種改良と
見分けがつかないため規制の対象外とした。
改変した遺伝子や有害物質の有無などの情報を同省へ届け出れば、
安全審査を受けなくても販売を認める。一方、ゲノム編集には新しい遺伝子を挿入する方法もある。
同省はこの手法は安全性の確認が必要として、
これまでの遺伝子組み換えと同じように安全性を審査する。ゲノム編集食品の扱いは各国で議論が分かれている。
米は農務省が2018年3月に
ゲノム編集食品の栽培を規制しない方針を出し、
実際に栽培されている。
ただ食品の販売はまだ始まっていないとみられる。一方、欧州では司法裁判所が18年7月に
遺伝子組み換えと同様に規制するとの判断を出し、
慎重に議論を進めている。
今夏にも日本で流通が始まれば、世界で先行することになる。国内ではゲノム編集食品の研究開発が進んでいる。
筑波大学は栄養の多いトマトを開発した。
血圧を下げる効果があるとされる
「GABA」というアミノ酸を通常のトマトの約15倍多く含む。
今年中の販売開始を目指している。農業・食品産業技術総合研究機構は
収量の多いゲノム編集イネを開発した。
17年春に野外栽培実験を始め、同年秋に初の収穫を終えている。
近畿大学と京都大学は
筋肉量が通常の約1.2倍あるマダイを開発した。
食べられる部分が増えて付加価値が高まる。ただ流通に向けた課題は残る。
厚労省は届け出の義務化を見送ったからだ。
ゲノム編集による遺伝子の変化は
突然変異との見分けが難しく検出できないのが理由だが、
実際に企業などが届け出をするかは疑問だ。
このため厚労省は
届け出の義務化も視野に入れた検討を続けるとしている。