せきぜんそく 放置すると重症化も

長引く空ぜき、眠れない…せきぜんそく、潜む危険
放置すると重症化も
http://www.nikkei.com/article/DGXKZO89160720Q5A710C1TZQ001/



夜になるとせき込んで眠れない日が続き不安になる人が増えている。
ひょっとすると「せきぜんそく」と呼ぶ聞き慣れない病気かもしれない。
治療を受けないと、本格的なぜんそくに進む可能性があるので、
早めに専門医を受診し、治療を受けることが大切だ。
花粉症などアレルギー患者が増えていることも、
せきぜんそくの増加につながっているという。


日本呼吸器学会では、小児ぜんそくの既往歴がある人は
せきぜんそくと診断しないことにしているが、
せきぜんそくの人には、小児ぜんそくだった人も少なくないという。
小児ぜんそくの約4〜7割はよくなるが、2〜3割程度がぜんそくを再発するとされている。


せきぜんそくにかかるのは平均すると40〜50歳代が多いが、
70歳以上の高齢者を含めすべての年齢層で発症するという。
ただ、乳幼児には、多くないとされている。
成人では4対6くらいの割合で、女性に多いという。


通常のぜんそくは空気の通り道である気道に炎症が起きて狭くなり、
呼吸をするときにヒューヒュー、ゼーゼーという喘鳴と呼ばれる音が出たり、
呼吸困難になったりする。


せきぜんそくのせきも、気道に炎症が生じて起きる。
夜間から明け方に悪化することが多い。
喘鳴や呼吸困難になったりすることはないが、就寝後にせき込んで、
しばしば目を覚ますなどぜんそくとの共通点もある。


夜間にせきがひどくなるのは、昼間に活発に働いている交感神経の活動が、
夜になると弱まり、逆に副交感神経の働きが強くなって、気道を締め付けるからだ。
気道表面の細胞にあるせきの“探知機”である受容体が、
刺激を受けてせきが出やすくなるという。
枕など寝具についたダニなどのアレルゲンがせきを誘発することもあるとみられる。


せきぜんそくの疑いがあるのは、風邪が治ったと思ったのに、せきだけ続くときだ。
春や梅雨どき、秋になると決まって空ぜきが続く人も要注意だ。
花粉や黄砂、ハウスダストなどによるアレルギー反応で気道に炎症が起き、
せきがでやすくなっているからだ。


せきは1〜2カ月以上続くことが珍しくない。
空ぜきの場合が多いが、たんが出るときもあるという。
しばしば風邪や気管支炎などと見過ごされる。
胸部X線写真を撮っても、異常はみつからない。
気管支拡張薬を服用して、せきが治まることが診断の決め手になる。


事前の検査としては吐く息に含まれる一酸化窒素の量を測る方法がある。
患者が装置を両手でもって、マウスピースをくわえて一定の速さで息をはき出す。
一酸化窒素の値が高いと気道に炎症が起きていて、せきぜんそくの疑いが濃いという。


気道に炎症が起きているときは、
たんを検査してみると「好酸球」が増えていることも多い。


名古屋市立大学病院の新実彰男教授は、
「自然によくなることもあるが、治療しないと悪化して
3割くらいは本格的なぜんそくに移行するので、早めに専門医を受診してほしい」
と注意を促す。


また最近は「食事の西洋化などで胃食道逆流症の人が増えており、
それに伴い空ぜきに悩む人も多い」(新実教授)と指摘する。


胃食道逆流症の人は昼間、特に食後にせきが出やすくなる。
せきぜんそくと胃食道逆流症を併発している人もおり、
両方の治療が必要なケースも少なくないという。

日本での認知まだ浅く 専門医、探して受診を

2〜3週間にわたってせきが続く病気にはせきぜんそくのほか、
花粉症などに合併することが多いアトピー咳嗽、
副鼻腔炎に伴うせき、慢性気管支炎、百日ぜき、肺がん、肺結核などがある。
ACE阻害薬を服用していると副作用でせきが続くこともある。


肺がんや肺結核は胸部X線写真で異常が認められるため検査で判別可能だ。