しっかり治そう アトピー性皮膚炎

しっかり治そう アトピー性皮膚炎
東京逓信病院 副院長 江藤隆史先生(1984年東大卒)
http://www.nhk.or.jp/kenko/kenkotoday/archives/2015/07/0713.html
http://www.nhk.or.jp/kenko/kenkotoday/archives/2015/07/0714.html

部位によって薬を使い分ける




体の部位によって皮膚の角層の厚さが異なり、薬の吸収率が異なります。
腕の内側を1とすると、頬は13と吸収率が高く、足首は0.4と低くなります。
部位によって効き目の強さが異なるステロイド
タクロリムスを上手に使い分けることが大切です。
たとえば、頭皮にはローションタイプのステロイドを、顔にはタクロリムスを使い、
足首には少し強いステロイドを使うなどと処方される場合があります。
薬は朝晩たっぷり塗ることが大切です。
皮膚にすり込むのではなく、盛り上がった炎症部分にも薬がのっているように、
たっぷりと指にとり、皮膚にのせるように塗ります。

薬をやめるまで




皮膚がきれいになると薬をやめたくなりますが、
良くなったからと言って急にやめてはいけません。
一見きれいに見える皮膚の下では、まだ炎症が続いているので、
治療をやめると再発してしまいます。
皮膚がきれいになっても、薬を継続することが大切です。
炎症が落ち着いてきたら、薬を使う頻度を徐々に減らしたり、
より弱いステロイドやタクロリムスに変更し、
悪化しそうになったら、薬を使う頻度を増やすようにします。
この方法を続ければ、少量の薬で症状をコントロールできるようになります。
軽症や中等症の人は、最終的にはスキンケアだけでよい状態を保つことも可能です。
ただし、薬をやめたあともスキンケアは毎日続けてください。

体の洗い方と保湿の方法




皮膚バリアはわずか0.02ミリと薄いので、
体を洗うときにタオルなどで強くこすると壊れてしまいます。
せっけんをよく泡立て、泡で包み込むように洗いましょう。
こすらなくても、よく泡立てた泡をのせるだけで汚れは落ちます。
泡が残らないようにお湯でよく洗い流し、
柔らかいタオルで水滴を押さえるように水分を拭き取ります。
拭くときもタオルでこすらないようにしましょう。
入浴直後で皮膚が潤っているときに保湿剤を使って皮膚に「フタ」をすれば、
皮膚バリアの代わりに水分の蒸発や外からの刺激を防いでくれます。
保湿剤にはワセリン・クリーム・軟膏・ローションがあるので、
好みに合うものを使えばよいでしょう。

汗をかくのは悪いことではない

汗が長時間皮膚に残っていると、汗に含まれる成分が皮膚を刺激して、
症状を悪化させてしまいます。
しかし、最近の研究では、汗をかかないようにしている患者さんより、
汗をかくように指導した患者さんの方が、症状が改善したという報告があります。
汗には皮膚を潤してバリア機能を高める働きがあるのです。
ただし、汗をかいたらこまめに洗い流すか、
ぬれたタオルで汗を拭き取り、保湿してください。









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アトピー 軟膏 塗り方