「骨の鉄筋」 コラーゲン守り、骨折を防ぐ

「骨の鉄筋」 コラーゲン守り、骨折を防ぐ
http://www.nikkei.com/article/DGXKZO86056720T20C15A4W13001/



骨の強さを決める要素は骨量と骨質の2つ。
鉄筋コンクリートの建物に例えるなら、骨量がコンクリートで骨質が鉄筋と言われる。
骨量は主にカルシウムの量で決まる。


近年は骨質も注目されるようになってきた。
「骨密度は低くないのに骨折しやすいケースがある。骨質が影響している」
と話すのは、東京慈恵会医科大学整形外科の斎藤充准教授。


骨質とは主にたんぱく質の一種のコラーゲンの質のことを言う。
コラーゲンは本来、柔軟性があるが
「体内の酸化や糖化によって劣化すると硬くもろくなる」(斎藤准教授)。
加齢や睡眠不足、暴飲暴食など良くない生活習慣が続くと、
細胞を傷つける活性酸素が増える。さらに終末糖化産物と呼ぶ物質が増え、
コラーゲンにべたべたつき、しなやかな構造を壊してしまうという。


■しなやかさ保つ
強い骨にするには、骨量を増やしつつ、質を良くして、
かたさとしなやかさとを備えた骨にする必要がある。


骨量を増やすには栄養素を考えた食事が先決。
「カルシウムは大人で1日800〜1000ミリグラム欲しい」(太田センター長)。
日本人の1日あたりの摂取量は500ミリグラム程度にとどまる。
吸収率が良い牛乳や乳製品などだととりやすい。


カルシウムの吸収に必須なのがビタミンD。サケやイワシなど青魚に多い。
ビタミンDは、日光に当たると皮膚でも合成される。
地域や季節にもよるが、手のひら程度の面積を1日15分程度でも効果は期待できるという。
カルシウムが骨にたまるのを促すために納豆や海藻に多いビタミンKも欠かせない。


骨質を上げるには、生活習慣病の治療や改善、予防が肝心だ。
また「抗酸化作用のあるビタミンC、骨のコラーゲンが劣化するのを防ぐ
ビタミンB6やB12、葉酸などを積極的にとると良い」(斎藤准教授)。


運動も、骨量を高め、骨質をよくするのに欠かせない。
振動が骨細胞を刺激して骨が作られるよう促し、その過程で良質のコラーゲンも作られる。
特に骨に重みがかかり、筋力がつく運動がおすすめだという。
中高年には「ウオーキングやヨガ、太極拳などが腰や膝を痛めにくく、
骨にも負荷をかけられる」(太田センター長)。