骨粗しょう症…新薬で選択肢に幅

骨粗しょう症…新薬で選択肢に幅
http://www.yomidr.yomiuri.co.jp/page.jsp?id=86167



◆服用 月1回のタイプ / 「破骨細胞」抑える抗体薬
骨の中では、古い骨を壊す「破骨細胞」と、
新しい骨を作る「骨芽こつが細胞」がバランスよく働くことで、強度を保っている。
だが、加齢などでこのバランスが崩れると、骨の量が減ってしまう。


よく耳にする「骨密度」は、骨の強さを示す指標だ。
〈1〉骨密度が20〜44歳の平均値の70%未満
〈2〉弱い力が加わっただけで骨折する――などの場合、骨粗しょう症と診断される。


治療には、骨を壊す働きを抑える「ビスホスホネート製剤」や「SERMサーム製剤」、
カルシウムの吸収を良くする「活性型ビタミンD3」などの薬を使う。


2010年には、
骨芽細胞の働きを促進する注射薬「テリパラチド(PTH製剤)」が新登場。
骨を強くする働きが強く、治療を行っても骨折を繰り返す重症患者に有効だ。


ただ、この薬の治験では、ラットで骨肉腫の発症率が高まった。
ヒトではこうした問題は生じなかったものの、現在ある2種類の薬は、
それぞれ安全性が確認されている18か月か24か月までしか使えない。


一方、ビスホスホネート製剤を毎日服用すると、
胃腸が荒れる、胸焼けを起こすといった副作用が出る場合がある。
副作用によって治療を途中でやめなくて済むよう、この2年ほどの間に、
月1回服用すればいいタイプの薬が相次いで発売された。


さらに今年6月、破骨細胞の形成を促すたんぱく質「RANKLランクル
の働きを抑える抗RANKL抗体薬「デノスマブ(商品名プラリア)」が発売された。


骨芽細胞から分泌されるRANKLにくっつき、
破骨細胞と結合する部分を塞ぐことで、骨を壊す働きを抑える。
6か月に1回、注射する。


整形外科医で、国立国際医療研究センター病院長の中村利孝さんは
「欧米など海外の患者さんを対象に行ったこの薬の治験では、
偽薬と比べ、太ももの骨折が40%減ったと報告された。
従来の薬で治療がうまくいかなかった人に効果が期待できる」と話す。


ただ、普段からビタミンDが足りない人がこの薬を使うと、
血液中のカルシウム濃度が減る場合がある。
「低カルシウム血症」という状態で、手の震えなどの症状が出るため、
カルシウムやビタミンDを薬や食品で補う必要がある。


(2013年10月17日 読売新聞)