漢方薬、脱・中国

漢方薬、脱・中国探る 調達先はラオスなどに分散
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漢方薬の世界でも、脱・中国依存を探る動きが出てきた。
日本の製薬会社は東南アジアや中央アジア漢方薬の主原料となる生薬の栽培に動き出した。
新日本製薬が今春、ミャンマーで試験栽培を始めたほか、
ツムララオスの自社農場で栽培してきた生薬の輸入を始める。
中国産生薬の急騰で輸入先の分散を迫られている。


ミャンマー東部カイン州パアン。
近年まで国軍と少数民族武装勢力との内戦が続いた辺境地帯にある湖は
深い森に縁取られている。
この湖のほとりにできた1棟のビニールハウスには種苗用ポットがずらり。
ジャノヒゲやクロショウガ、ケイヒなど30種類以上の生薬が栽培されている。


現地の少数民族支援に取り組む日本財団とともにハウスを運営するのは新日本製薬
今春からパアンや北部ピンルーウィンなどミャンマーの8カ所で生薬の試験栽培を始めた。
生育状況を分析してミャンマーに適した生薬を選び、
2016年以降に現地の農家に委託して商用栽培を始める。
収穫した生薬を買い取り、日本に輸出する計画だ。


■政府支援も期待
ミャンマーの北部山岳地帯は薬草栽培に適した冷涼な気候。
辺境地帯での雇用創出を急ぐ政府の支援も期待できる。
プロジェクトを担当する新日本製薬の長根寿陽開発事業室長は
「18年にも日本の生薬輸入の1割、年間2千トンの収穫が見込める」と意気込む。


ツムララオスで05年から、ケイヒを自社農場で試験栽培してきた。
今年度いよいよ収穫し、輸入を始める。
来年には現地の従業員を1.5倍に増やし、農場の面積も近く4割広げる計画だ。
ケイヒ以外の生薬の栽培も急ぐ。


中央アジアでも
漢方薬の7割に使用されるカンゾウは甘味料として用いられるグリチルリチン酸の主原料。
薬品原料メーカーの宏輝は
昨年にアゼルバイジャンカンゾウからグリチルリチン酸を抽出する工場を稼働した。
甘味料の原料としての調達も難しくなっているため、
中央アジアコーカサス地方での現地生産を決めた。


日本国内でも耕作放棄地を活用して生薬栽培を始める動きがある。
ただ、担い手不足や割高な人件費など国産化にはハードルが多いため、
東南アジアなど中国以外の海外産地の拡大に期待が寄せられている。