グレープフルーツとの相互作用

グレープフルーツとの相互作用で重篤な有害事象,4年で2.5倍に
カナダ・190報に基づくレビュー
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/mtpronews/1211/1211066.html
GFJ


20年以上前にグレープフルーツとCa拮抗薬の相互作用を報告した
カナダ・ローソン医療研究所のDavid G. Bailey氏らによると
グレープフルーツとの相互作用で重篤な有害事象が報告された薬剤は
2008〜12年の4年間で約2.5倍増加したという(CMAJ 2012年11月26日オンライン版)
グレープフルーツ摂取によって相互作用を引き起こす薬剤は
同国で承認されているだけで85成分以上にも上ることから
同氏らは安全性の確保に向け,注意を呼びかけた。


抗がん薬:
クリゾチニブ,ダサチニブ,エルロチニブ,エベロリムス,ラパチニブ
ニロチニブ,パゾパニブ,スニチニブ,vandetanib,venurafenib


感染症薬:
エリスロマイシン,halofantrine,maraviroc,primaquine,キニーネ,rilpivirine


脂質異常症薬:
アトルバスタチン,ロスバスタチン,シンバスタチン


心血管治療薬:
アミオダロン,apixaban,クロピドグレル,dronedarone,エプレレノン
フェロジピン,ニフェジピン,キニジン,リバーロキサバン,ticagrelor


中枢神経系薬:
alfentanil(経口薬),buspirone,デキストメトルファン,fentanyl(経口薬)
ketamine(経口薬),lurasidone,オキシコドン,ピモジド,クエチアピン
トリアゾラム,ziprasidone


胃腸機能調整薬:
ドンペリドン


免疫抑制薬:
シクロスポリン,エベロリムス,シロリムス,タクロリムス


泌尿器系薬:
darifenacin,fesoterodine,フォリフェナシン,シロドシン,タムスロシン


当初,グレープフルーツジュースによる相互作用は
大量摂取で起こると報告されていたが,グラス1杯程度(200〜250mL)
またはグレープフルーツ1個でも生じる


さらに,マーマレードジャムに用いられるセビリアオレンジのほか
ライム,ポメロなどの柑橘類でも生じるが,同じオレンジでもバレンシアオレンジ
ネーブルのようなスイートオレンジでは相互作用は起こらないという


グラス1杯のグレープフルーツジュースでフェロジピンを服用した場合の
薬物血中濃度は,水で服用した場合の約3倍にも達する。


重篤な有害事象発生とグレープフルーツ摂取量の関係を見ると
アミオダロンとジュース(1日1〜1.5L)の服用でTdP
アトルバスタチンとジュース(グラス1〜2杯を週5日間摂取)で横紋筋融解が
またシンバスタチンではグレープフルーツ(1日1個を2週間摂取)で横紋筋融解が
それぞれ認められている。


では,両者の相互作用により薬剤血中濃度はどれくらいになるのか。


2011年,カナダで使用頻度が最も高かったアトルバスタチンを
グレープフルーツジュース(250〜400mLを1日3回,1週間で2〜4日間摂取)で
服用すると,薬剤の血中濃度は180〜250%に上昇した。


夜にアトルバスタチンを服用し,翌朝グレープフルーツジュース(300 mL)を飲んだ場合
血中濃度は119〜126%であった。


一方,プラバスタチン,ロスバスタチン,フルバスタチン
については,グレープフルーツとの相互作用は認められていない。