てんかん

てんかんの薬物治療、発作症状に基づき選択を
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/report/t183/201210/526779.html


てんかん薬で7割が寛解

てんかんは慢性の脳疾患で
大脳の神経細胞で過剰興奮が生じることにより
発作性の症状が2回以上起こる病態を指す。


てんかんと一言でいっても、発作症状は多岐にわたる。
国際抗てんかん連盟のてんかん発作型国際分類1981年版によると
まず、大脳皮質全域にわたる発作の全般発作と
脳の一部の異常興奮によって始まる部分発作に分けられる。
さらに全般発作は欠伸、ミオクロニー、間代、強直、強直間代、脱力に
また、部分発作は単純部分、複雑部分、2次性全般化に分類される。
2006年には改訂作業が行われ、分類が一部変更されている。


日本神経学会が2010年に作成した「てんかん治療ガイドライン」では
全般発作の第1選択薬にはバルプロ酸
部分発作にはカルバマゼピンがそれぞれ推奨されている。
てんかん患者の7割はこれらを中心とした薬物療法で発作の寛解が期待できる。
しかし、残り3割の患者は、薬物療法に難治である。


では、第2選択薬をどのように選ぶかということになるが
「従来のやり方では難しい」
国立精神・神経医療研究センター病院小児神経科主任医長の須貝研司氏)
というのも従来薬のほか、“新規抗てんかん薬”と呼ばれる4剤を含めると
数多くの薬剤が選択肢に入るためだ。


日本では2006年にガバペンチンが登場し
トピラマート、ラモトリギン、レベチラセタムと続いた。
2000年代に承認された薬剤が“新規抗てんかん薬”と呼ばれているものの
欧米では長らく使用されてきたものだ。


適応はいずれも、従来の抗てんかん薬で無効だった
部分発作に対する従来薬との併用に限られる。
ラモトリギンだけはこのほかに全般発作や小児への投与において適応がある。


てんかん治療ガイドライン」では
欧米のガイドラインを基に推奨薬が記載されているため
全般発作では発作型によっては日本で適応のない新規抗てんかん薬が推奨されている。

てんかん発作型の見極めが重要

須貝氏は、第2選択薬を決める際は
てんかん発作型に基づいて考えるようアドバイスする。
もし専門医によって発作型が確定診断されていない患者であっても
発作症状からその患者の発作型を推測することは可能だ。


須貝氏はこれまでの経験から表1のように治療薬選択の考え方をまとめている。
例えば
「体を突っ張る、強く前へ倒れる、力が入る」
といった症状が見られた場合は強直発作
「体をがくがくさせる」場合は強直間代発作が疑われる。
部分起始強直発作の場合は
ゾニサミド、フェノバルビタール、ラモトリギン、臭化カリウムの順に検討する。
全般性強直発作の場合は
バルプロ酸フェノバルビタール、ゾニサミド、臭化カリウムの順で考慮している。

血中濃度踏まえた効果判定を

てんかん薬の治療効果を判定する際は、血中濃度に十分に注意することが必要だ。
各薬剤の血中濃度は、半減期の約5倍の時間を経て定常状態に達するが
それまでの所要時間は、40時間程度のものから10日を超えるものまで
薬剤によってばらつきが大きい(表2)。





ピーク時間と半減期を把握した上で、その薬剤の治療効果を判定し
必要に応じて薬剤を切り替えていくことが求められる。
患者にも効果が表れるまでの時間をしっかり説明することが望ましい。


須貝氏はこれまでの新規抗てんかん薬の処方経験から
ガバペンチンやトピラマートを急速増量すると眠気を引き起こす可能性があるため
投与量の2分の1で開始し、徐々に増量している。
また、ラモトリギンは、急速増量やバルプロ酸との併用で
薬疹が出やすいので、漸増している。