人工関節の喫煙リスク

整形外科医も患者に「禁煙!」主張
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/mtpronews/1204/1204047.html


2月に開かれた米国整形外科学会(AAOS)年次学術集会で
人工関節置換術患者の喫煙が予後を左右するという2つの新たな研究結果が発表された。
ニコチンは術後の骨および創部の治癒能力を障害するとされていることから
患者が禁煙しないなら整形外科医が手術を拒否するくらいの対応が至適治療に寄与する
とした米南フロリダ大学整形外科准教授のGlenn R. Rechine氏の談話が
4月12日のAAOSのプレスリリースで紹介された。

喫煙者で人工膝関節置換術 再施行率が10倍

同学術集会で明らかになったのは
人工関節置換術患者の喫煙例における予後不良例であり
1つは禁煙例に比べて人工膝関節置換術の再施行リスクが10倍高いというもの
(喫煙者10.0% vs. 非喫煙者1.0%)。
静脈血栓塞栓症,貧血,急性腎不全などの術後合併症発生率についても
ほぼ同様の傾向が示された(喫煙者21.0% vs. 非喫煙者12.0%)。


もう1つは,人工股関節置換術例での成績であり
再置換術例(374例)を含む533例に用いられた超小型軽量の金属臼蓋に
認められた障害は,非喫煙例の3.4%に対し喫煙例では9.1%という結果だった。

段階的な禁煙誘導の方策も

このように,喫煙による影響は
術後疼痛だけでなく予後にも影響するようだが
ではどうしたら術前患者を禁煙させることができるのか。


禁煙を成功させるには段階的に誘導していくやり方が望ましいとするのは
米メイヨークリニックニコチン依存症センター所長のRichard D. Hurt氏だ。
同氏によると,禁煙を成功させるポイントは
まず喫煙が患者にとっては重大な問題であることを自覚させることだという。
それには,患者が診察に入ってくるまでのあらゆる段階で
「喫煙しているか」との質問を繰り返すことが効果的である。


次に行うのは,患者に喫煙をやめるよう医師が助言することだが
「禁煙を考えるべき」とするのではなく
「禁煙する必要がある」と言い切ることが大事であり
禁煙の意志が確認できれば最終的に禁煙の手助けをしていくという。