アロプリノール

薬剤性過敏症症候群を引き起こす薬剤とは
http://medical.nikkeibp.co.jp/inc/mem/pub/di/diquiz/ より一部改変

日経DIクイズ 服薬指導・実践篇 6

日経DIクイズ 服薬指導・実践篇 6


◆Question

56歳男性
「昨日から、急に発疹が出てきて、今朝起きたら体中に広がっていました。
皮膚科で診てもらったところ、薬剤性過敏症症候群だと言われました。
先月からこちらでいただいている薬が原因らしいのですが
薬のアレルギーは、飲んですぐに起きるのではないんですか。
それから、ヘルペスのウイルスが関係していると言われましたが
ヘルペスになったことはありません。どういうことでしょうか。」


《処方せん》
プレドニン錠5mg 6錠 分3 毎食後 1日分
※内科診療所からザイロリック錠、コルヒチン錠が処方されている。

◆服薬指導

薬剤性過敏症症候群という病気は、急速に広がる赤い発疹のほかに
発熱やリンパ腺の腫れなど、様々な全身症状を引き起こす薬物アレルギーです。
このアレルギーを起こす薬は8種類ほどしかなくザイロリックもその一つです。
服用開始後2週間か6週間から症状が出るのが特徴とされています。
ヘルペスですが、この病気は、原因となる薬剤へのアレルギー反応に加え
体の中にもともと潜んでいた6型ヘルペスウイルスというウイルスが
活性化することで様々な症状が引き起こされることがわかっています。
この6型ヘルペスウイルスは、乳幼児の突発性発疹を起こすウイルスで
ほとんどの人が小さいころに感染し、そのまま体の中に持っているといわれています。
性器ヘルペス帯状疱疹を起こすヘルペスウイルスとは違うタイプです。
治療には、処方されているプレドニンが有効です。
ザイロリックを中止しても、しばらくは症状が続く可能性がありますので
入院して経過を見ながら、ゆっくりとお薬を減らしていくことになると思います。

◆解説

 薬剤性過敏症症候群(drug-induced hypersensitivity syndrome;DIHS)は、薬剤の服用開始後、遅発性に発症する重症薬疹である。発症時期は服用開始後2〜6週間が最も多いとされ、急速に拡大する紅斑のほか、リンパ節腫脹、発熱、白血球増多、肝機能障害などの全身症状を呈する。通常の薬疹とは異なり、原因薬剤の中止後も、2週間以上症状が遷延または再燃することが多いのも特徴である。DIHSを起こす薬剤は比較的少なく
(1)フェノバルビタール
(2)フェニトイン(アレビアチン)
(3)カルバマゼピンテグレトール
(4)ゾニサミド(エクセグラン)
(5)サラゾスルファピリジン(アザルフィジンEN)
(6)アロプリノール
(7)塩酸メキシレチン
(8)ジアフェニルスルホン(レクチゾール)――の8種類にほぼ限定される。
 DIHSの病態は長い間不明だったが、近年、原因薬剤に対するアレルギーのほかに、ヒト6型ヘルペスウイルス(HHV-6)の再活性化が関与していることが明らかになった。HHV-6は突発性発疹の原因ウイルスで、不顕性感染も含めて、ほとんどの人が2歳になるまでに感染する。その後、免疫系の細胞に潜伏し、免疫機能の低下などに伴い再活性化すると考えられている。

 DIHSにおいて、どのような機序でHHV-6の再活性化が引き起こされるのかは明らかではないが、DIHS患者では、発症の3〜4週間後にHHV-6に対する血清IgG抗体が急激に上昇する。この時期は、DIHSの症状が再燃する時期に一致するため、最初に原因薬剤の中間代謝産物がアレルギーを誘発し、それにより活性化された特殊なT細胞がHHV-6の再活性化を促し、原因薬剤の中止後も症状の進行や再燃を起こすのではないかと考えられている。同じ原因薬剤による薬疹でも、DIHSではない薬疹の場合、HHV-6のIgG抗体の上昇は見られない。